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2009年10月の7件の記事

2009-10-25

「キノコ採取禁止」と「魔女の蜂蜜」

そういえば、今年の夏のイタリア旅行について、書き忘れていたことがあった。
この標識である。

「キノコ採取禁止」の標識

リグーリア州西部の山岳都市トリオーラ(Triora)のはずれで見つけた「キノコ採取禁止」の標識だ。
拡大するとこんな感じ。

「キノコ採取禁止」の標識

「許可されていない者がキノコを採取することは法令で禁止されています」というわけである。
このあたりは、タルトゥーフォ(トリュフ)の産地らしいから、こんな標識を立てる必要があるのだろう。
日本だったら、松茸採取禁止というところか。

ついでにもう1つ。
下の写真は、このトリオーラで買ってきた蜂蜜。

トリオーラの蜂蜜

ラベルには「Miele di Alta Montagna」、つまり「高山の蜂蜜」と書かれている。
村に一軒あった物産店で蜂蜜は何種類か売られていたが、これが一番色が濃くて、値段も高かった。
500グラムで12ユーロだったかな。ほかのやつは9ユーロだったような記憶がある。

ちょっと上のほうが減っているように見えるのは、すでに使っているからである。

魔女のラベル

ラベルの右上には、こんなイラストが。
魔女伝説のある村トリオーラならではのもの。
どうやら、「魔女」で町おこしをしているらしい。
村のあちこちに、Strega(魔女)という文字を見たので、いっぺんでこの単語を覚えてしまった。

ラベルの上のほうにも、「Prodotti tipici della Strega di Triora」、つまり「トリオーラの魔女の特産」と記されている。

こうして、魔女がつくったらしい蜂蜜を、毎日コーヒーに入れて飲んでいる私である。
味も濃厚で、深煎りのコーヒーによく合う。

2009-10-18

名寄から旭川の車窓

 名寄からは札幌方面に高速バスが日に何本か走っていて、そちらのほうが値段が安いこともわかったのだが、せっかくだから普通列車の旅を味わうことにした。

名寄駅

 時間が許せば、反対方向の列車に乗って稚内まで行きたいのだが、そこをグッと我慢して旭川行きの客となる。1時間ほど前に風連から乗ってきた車両だ。
 うれしいことに窓が開くので、気が向いたところで車窓の写真を撮ることにした。

名寄公園

 まずは、名寄駅を出てすぐ、左側の車窓から見える名寄公園。ここに蒸気機関車2両と除雪車(ロータリー車)、車掌車が静態保存されていることは、ここに来る列車の窓から見ていた。
 市街地とは反対側にあるので足を向ける時間がなく、車窓からの檄撮でお茶を濁した私である。なお、2両ある蒸気機関車のうち、先頭は9600形、後方はD51のようである。

瑞穂駅

 次は瑞穂駅。板張りのホームは1両分しかない。国鉄時代は仮乗降場と呼ばれて、全国版時刻表に掲載されていなかったたぐいの駅である。こうした仮乗降場は北海道ならではのものだが、JRに転換すると同時に正式な駅に昇格している。

下士別駅

 士別市内にある下士別駅。ここも普通列車しか停まらない小さな駅である。右手奥に見える小屋が待合室のようだ。

剣淵駅

 剣淵駅は特急こそ停まらないが、快速は停車する駅である。宗谷本線に並行して走る道央自動車道は、現在この駅の北東にある剣淵士別インターチェンジが北端となっている。

塩狩駅

 最後は塩狩駅。三浦綾子の小説「塩狩峠」で有名な峠は、この駅の北方にある。かつては、蒸気機関車が懸命に登った峠を、ディーゼルカーのキハ40形は軽快とは言わないまでも、それほど苦にしないで上り下りしている。
 駅周辺はうっそうとした林になっていて、秋の木漏れ日が目にやさしい。ここには千数百本の桜の木が植えられており、「一目千本桜」という石碑も建てられていた。春には花見客で賑わうそうだ。

 こうして1時間50分の普通列車の旅を楽しんだ後は、旭川から札幌まで特急に乗車。札幌市内で所用を済ませたのちに、鮨をたらふく食べて新千歳空港に向かったのであった。

2009-10-17

ネコにひかれて名寄めぐり

 名寄市の中心地は碁盤の目状に整然と町並みがつくられ、アーケードのもとに商店街が形作られていた。
 最近になって建て直されたところも多いようで、無責任な旅人の目からすると、いま一つおもしろみに欠けるなあ……なんて思っていたら、視界の隅でネコらしき物体が動いた。

名寄のネコ

 ネコの後を追って速やかに、しかし脅かさないように抜き足差し足で進む私。ネコが姿を隠した路地を覗き込むと、相手もこちらをじっと見ている。ひととき、ネコと私のにらみ合いがつづいた。

091017b

 が、やがて飽きたのか、ネコは視線をそらして、さらに前進。

 居酒屋スナック(?)「赤とんぼ」の前で、しばしたたずんでいたが、すたすたと去っていってしまった。

 だが、私はこのネコに感謝をしなければならない。あたりを見回すと、じつに味わい深い建物が取り巻いていたことに気づいたのであった。

 下の写真で左側に立ち並んでいる建物は、昔からの商店だったのだろうか。今では飲み屋ばかりとなっているが、かつてはこのあたりが繁華街だったのか。
 そして何よりも右側の建物が趣深い。いかにも寒冷地らしい角度のきつい屋根。2段構えになっている屋根がおもしろい。開拓時代とはいわないが、かなりの年季ものである。

名寄の飲み屋街

 どうやら、うなぎの寝床のような構造になっているらしく、中央下が通路になって向こう側の通りに通じていた。そして、不思議な細い煙突らしきものが2本。妻面には不思議な切り貼り文字の跡が見えた。

ビリヤード場跡    ビリヤード場跡

 「ビ……場」--私の明晰な頭脳は、約0.5秒でここに「ビリヤード場」があったのだと確信した。
 それにしても、「ビ」と「場」の間に、居酒屋の看板を突きたてているのが大胆である。思わず、我が眉間にひりりと痛みを感じてしまった。

名寄の飲み屋

 このあたりは今でも歓楽街のようで、夜になると賑わうのだろう。かつては、人の行き来も活発で、このあたりで遊んだ人も多かったに違いない。
 この写真の店は、なんと煉瓦づくりの建物の上に、屋根と入口を建て増しして今の姿になっている。

名寄の飲み屋

 「看板建築」というのは、日本風の民家の正面を、まるで看板のような平面にして銅板やモルタルで覆ったものだが、これはなんと表現したらよいのか。
 「看板プラス屋根建築」あるいは「頭隠して尻隠さず建築」である。

2009-10-15

茫漠たる名寄駅

 風連から約10分、1両のディーゼルカーは終点・名寄駅に到着した。
 かつては、ここを起点としてオホーツク海に向けて名寄本線が走っていたのだが、約20年前に廃止になってしまった。学生時代に乗ったことはあるのだが、名寄駅で乗り換えた記憶がまったくない。たぶん、夜行列車の連続だったので頭がぼーっとしていたに違いない。

名寄駅到着

 今ここには、札幌と稚内を結ぶ特急列車が1日に3往復するほかは、ローカル列車が旭川方面に1日十数本、稚内方面に数本走っている程度である。その割には駅構内がだだっ広いのは、ここが道北の一大ジャンクションとして賑わっていた名残だろう。

名寄駅構内

 列車から降りたのは10人ほど。改札を出て、まず札幌までの乗車券と特急券を購入。発車までの1時間あまり、町をぶらぶらと散歩することにした。
 駅を出て振り返ると、その駅舎の趣深いことに感激した。あとで調べたところによると、1927(昭和2)年にできたものらしい。開拓地の建物を思わせるつくりの駅舎である。

名寄駅駅舎

 駅前には、市内バスのほかに、名寄本線と深名線の代替バスの停留所があった。時刻表を見ると、名寄本線の代替バスは意外と本数が出ている。とくに下川までは1日十数本。オホーツク海沿岸の興部、紋別方面への便も日に数本あるようだ。今度来たら、ぜひ乗ってみたいものである。

名寄駅前

 それにしても、駅前の茫漠とした様子はどうだ。交通量もけっして多くないのに、道はとてつもなく幅広いし、駅前広場もたっぷりとスペースをとってある。
 さて、どこをどう散歩したらよいのか。とりあえず、駅を背にしてまっすぐに歩きはじめた。

2009-10-10

道北・風連の町並みと駅

 下川からの帰り、同行者たちは昼前に旭川空港から東京へ帰るという。フリー稼業である私は、急いで帰る必要もないので、途中でレンタカー(ワゴン車)から降ろしてもらうことにした。列車でのんびりと札幌に向かえばいいかと、新千歳空港発の夜遅い便を予約していたのである。

風連駅前

 旭川近郊で降ろしてもらってもよかったのだが、せっかくの機会だから多少交通費はかかっても、なるべく下川近辺で降ろしてもらおうと思い立った。近くで大きな駅というと名寄駅だが、それではかなり大回りをさせてしまうことになり申し訳ない。
 そこで決めたのが、宗谷本線風連駅であった。

風連の中心部

 以前は、風連町という独立した町だったが、例の平成の大合併によって名寄市に組み込まれてしまった。旧町名は、近くを流れる風連川に由来しているようで、風連川のアイヌ名はフーレ・ベッである。ベッ(ベツ)は「川」の意味で、そのまま音訳して「……別」という地名になっていることも多い。
 道東の別海町にも、違う字を当てているが、やはり風蓮という地名があって、学生時代に行ったことがある。

古い商店

 かつては北海道の端にいくと、開拓時代をしのばせる建物をよく見かけたのだが、今ではそれも珍しくなってしまった。コンクリートでしっかりと固められた建物があるのみだが、それでも道の広さと、余裕のある敷地が大陸的な雰囲気をかもしだす。

風蓮の商店街

 レンタカーの運転をしてくれた同行者が、市街地を走っていたときに、「いま何キロ出していると思いますか?」と尋ねたときのこと。「40キロぐらい?」と一人が答える。私もそんなところかなと思ったら、「70キロですよ」という。
 高速道路ではない。一般道である。しかも市街地のなかで、前後にも車が走っている。
 車道も歩道も広いので、車内にいるとスピード感が本州と違う。どうしても錯覚してしまうようで、北海道でレンタカーの事故が多いというのもうなずけた。

風連駅

 それにしても、市街地で商店街もあるというのに、ほとんど外を歩いている人がいない。秋の日が暖かく、湿度も低くて気持ちがいいのに! 買い物もお出かけも、みんな車で移動しているのだろう。
 そういえば、前日の下川町でも、仕事先の地元の人に「昼食に行きましょう」と誘われて車で出かけていったっけ。歩いてもたいした距離ではないのだが。

風連駅

 乗ろうと思っていた旭川行きの上り普通列車が来るのは1時間半後である。どうやって時間をつぶそうかと思っていたら、すぐに名寄行きの下り普通列車があることに気づいた。
「名寄までちょっと戻って、また市内散歩をするかあ」
 つかのまの行き当たりばったりの旅である。澄んだ空に秋風が心地よかった。

2009-10-07

北海道下川町の景観

 先週は仕事で北海道の中央部にある下川町に行ってきた。
 旭川から車で1時間半ほどのところにあり、日本でもっとも林業が盛んであり、かつ成功しつつある町だ。
 50年前から何度かに分けて国有林を買い取り、長期的な視野で計画的に植林や手入れをしてきたおかげである。

林の中の道

 素人でも、下川町に入ったとたんに山の木々の様子が一変するのがわかる。ただそこに木があるというだけでなく、こんもりしていかにも栄養たっぷりといった雰囲気なのだ。

下川町の丘

 そして、人工林よりも高度が高い場所に、ところどころ牧草地が見える。それがいかにも北海道らしい広々とした景観を形作っていた。林の中では、エゾシカの家族とキタキツネの親子も見ることができた。

伐採地と人工林

 地元の食堂に行くと、麺どんぶりも木工製品ならば、お盆もスプーンも全部木工製品。木の香りにつつまれた素敵な町である。

牧草地

 ここの人口は4000人弱。そのうち、前回のトリノ冬季オリンピックには4人の代表選手を出している。葛西、岡部をはじめとするスキーのジャンプ陣だ。町民の1000人に1人がオリンピック選手だったと地元の人は笑っていた。

市街地を見おろす

 今から30年前、この町を名寄本線が走っていたときに、ここを通りすぎたことがある。今では、名寄から代行バスが日に十数往復しているようだ。
 町外れにある五味温泉は、夜になると何の物音もしない。夜空には無数の星がきらめいていた。

2009-10-03

大田区・梅屋敷商店街の夕暮れ

 先週、仕事の都合で下車した京急の梅屋敷駅。京急蒲田の1つ品川寄りにある駅である。快特も特急も通過して、日中は10分に1本の普通列車が停まるだけだ。

 今年になって、たまたま何度か降りる機会があったが、気に入ったのは品川寄りにある商店街。大田区にはほかにも元気な商店がいくつかあるが、ここも人通りが絶えることなく賑わっているのがうれしい。

梅屋敷商店街

 魚や果物など、安くてよさそうな品が並んでいるので買って帰りたいが、家までが遠く、わざわざ持ち帰るのも億劫なので断念。
 その代わりといってはなんだが、仕事帰りの打ち合わせ場所として、以前から気になっていた喫茶店に入ることにした。

喫茶店「琵琶湖」

 それが、この「琵琶湖」。「コーヒー自慢」という看板はわかるが、左奥には「料理自慢」の文字が!
 いかにも昔ながらの落ち着く喫茶店というイメージである。だが、料理を出す喫茶店というのは、えてしてただ古いだけでコーヒーもマズいところが多い。

「はたしてここは?」と緊張して(ウソ)入店する私。

 私の不安は杞憂に終わった。
 コーヒーは、ものすご~~くウマいというわけではないが、この値段ならば(といっておきながら値段を忘れたが)十分OKである。店内も清潔でよろしい。

 しかも、ケーキやサンドイッチとのセットはもちろんのこと、半サンドイッチ、半トーストとのセットがあるというのがうれしい。小腹が空いたときに絶好である。

 夕方という時間もあってか、店内は地元の人と思われる客でいっぱい。商店街と同様活気にあふれていた。そんな雰囲気に、同行者も満足の様子。

 それにしても、なぜ「琵琶湖」なのか。
 店主が滋賀県出身なのか、それとも琵琶湖の水でコーヒーを入れているのか、はたまた琵琶湖名産の鮒ずしでも裏メニューで供しているのか?
 残念ながら、珍しく仕事のことで頭がいっぱいだったので、店の人に聞くのを忘れた。

喫茶店「琵琶湖」

 店外に出て、夕暮れの商店街を歩いていると、「居心地のよさそうな町ですね」と同行者がぽつり。
 生活に必要なものは一通り揃っているようである。500メートルほどの狭い商店街の両側には、食料品店や日用品店はもちろんのこと、銀行から葬儀屋まであった。

 そして、喫茶店もなんと4軒。ドトールや珈琲館(ここも個人経営のようだが)にまじって、琵琶湖は非常に健闘しているようである。
 池袋の東亜、秋葉原の古炉奈が閉店して個人的に寂しくなっている今、こうした喫茶店にはまだまだがんばってほしいものだ。
 あ、最後の写真に、同行の人が写ってしまった……小さいからいいよね、Oさん。顔はちょっとボカしておきました。

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