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2009-07-09

西リグーリアで異彩を放つ町: タッジャ

 西リグーリアの大きな町というのは、たいてい海岸に面しているのだが、このタッジャ(Taggia)だけは、不思議なことに海岸から4キロ近く入った場所にある。
 しかも、その旧市街は中世初期にまでさかのぼるそうで、その古めかしい町並みとともに、いかにもいわくありげである。

旧市街の入口

 場所はサンレモから東北東へ直線距離で10キロ弱。人口は1万人あまりで、バスも20~30分おきに走っている便利な町なのだが、旧市街の狭くて曲がりくねった路地はまさに迷宮の世界である。

石橋

 町の東側はアルジェンティーナ川が流れているのだが、そこに全長260メートル、16連のアーチが並ぶ魅力的な石橋がかかっている。
「中世の橋」「ローマ橋」などと呼ばれていて、対岸には12世紀に建てられたという教会が見えるのだが、あまりの暑さに渡るのをやめた軟弱な私である。

旧市街の町並み

 なにしろ着いた時間が悪かった。真夏の日射しが照りつける昼下がり。
 店はすっかり閉まっており、旧市街には人影もない。しかも、その日はやけに空気が湿っぽかった。

 山岳都市の歩き疲れを癒す日のはずが、サンレモの帰りに立ち寄ったここでも、やはり坂道だらけ。適当にぐるりとまわって写真を撮るだけになってしまったのである。

 まあ、それでも一応、町の頂上まで行かなくては気が済まない。
 息切れをしながら、頂上の城砦までたどりついたのだが、町の展望はいま一つであった。

旧市街の町並み

 だが、帰ってからインターネットのサイトを見ると、川をはさんだ反対側の丘から撮ったと思しき写真が載っていた。それによると、このタッジャの町は円錐形の山に沿った見事な丘上都市を形づくっているではないか。
 しかも、町一番の見どころのはずの、回廊の美しいサン・ドメニコ修道院も見損なっていたことも判明した……。

「うーん、こりゃあ次回への宿題だな!」
 こうして、イタリアの泥沼にさらにずぶずぶと足を突っ込むのである。

サンタ・ルチア教会

 最後の写真は、頂上近くにあったサンタ・ルチア教会。
 これはこれで、一風変わった形をしていておもしろい。

 坂を降りてバス停のある広場までやってくると、バールに少しずつ人が戻りはじめていた。
 待ち時間にビールを飲みながら、「さあ、始発のバスに乗ってのんびりと宿のあるインペリアまで帰るか」と思っていたら、なんと帰りのバスは海水浴に向かうと思われる小中学生で満員。あやうく乗り換えのバス停で降り損なうところであった。

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イタリアの旅 北から南まで」カテゴリの記事

コメント

>一生イタリアから卒業できない

ううっ、そうなんです。
以前は、インドや東南アジアなども旅行していたのですが、ここ10年ほどはもっぱらイタリアのみ。
汲めども尽きないイタリアの奥の深さに、すっかり当たってしまっています。

海辺のリゾート地とは、ガラリと趣の異なる、ここも訪れてみたくなる場所です。
くすんだパステルカラーの路地裏を、夕暮れどきに散策してみたい…。
色んな顔があるのですね、リグーリアにも。
毎度貴重な情報に感謝です!!
こうして「いつか訪れたい街リスト(イタリア限定)」がまたひとつ増えて。
一生イタリアから卒業できない(したくない?)自分が、嬉しいような困ったような。

Pentaさん、こんにちは。
西リグーリアはフランスに近いので、フランス在住やフランス好きの日本人の方がときどき旅をしているようですね。ブログなんかを見ると。

それでも、わざわざ海から中途半端に遠いタッジャに行く人は少ないようです。

「ソフトクリームが溶けたようなガウディの建築にも似ている部分」というのは、少なくともここにはなかったなあ…… (^^;;

ここまで来ると、日本人とか東洋人は見ないんじゃないですか?

下のサンレモの所の写真にもありましたが、建物がソフトクリームが溶けたようなガウディの建築にも似ている部分もあるかなと思ったんですが、、、

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著書

  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
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