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2009-07-07

国境の町ヴェンティミッリャの旧市街

 ヴェンティミッリャ(Ventimiglia)というと、かつてユーレイルパスを使ってヨーロッパを周遊したことのある人は、イタリアとフランスの国境の町ということで記憶に残っているに違いない。
 私もその程度の認識で、今回は鉄道からバスへの乗り換えのために下車したわけである。

ヴェンティミッリャ旧市街遠景

 国境の町なんていうと、日本人の感覚ではどこかぎこちなくて、うら寂しいなんて感覚だが、ここはそれとは正反対であった。週末ということもあって、駅前に広がる新市街は人でごった返している。

 フランスからの観光客も多いようで、町をゆく自動車のナンバーを観察していたら、1割から2割がフランスナンバーだった。
 商店も立ち並び、イタリアの物産の土産物屋もずいぶん目にした。

旧市街の入口近く

 ところが、そんな新市街の西側に目をやると、丘を埋めつくす家々とその上にそびえ立つ教会の塔が見えてくる。

「おお、やっぱりここにも旧市街がある!」
 バスの発車まで1時間半ほどしかなかったが、私は喜び勇んで旧市街のふもとに向かったのであった。

 だが、当然丘の上にあるわけだから、頂上まで行くには坂道の連続。
「何が悲しくて、こんなに毎日坂道を登らなくちゃならないんだ」
 というわけで、結局この日も、山登り同然の坂道歩きを余儀なくされたのであった。

 旧市街の入口付近は、日の当たらない薄暗くて狭い道が続き、さすがの私も夜にここを通りたくないと思ったくらいである。
 しかも、サンレモの旧市街と違って、家々の壁の色はくすんでいて、どこか沈んだ雰囲気をただよわせている。

旧市街中心部

 それでも、頂上までやってくると夏の日射しがまぶしく照りつけていた。この丘は台地のようになっていて、側面は急坂になっているものの、頂上部はなだらかで広くなっている。

 ちょうどお昼どき直前ということもあって、バールでのんびりしている人、犬を連れて散歩している女性、友だちとぶらぶら歩いている若者たちなど、生活感あふれる情景を目にすることができた。

 下の写真は、フランスに近いこともあって、アンリ・カルチエ=ブレッソン風に撮ったものである。われながら、なかなかいい感じ。

旧市街の小道

 ちなみに、ヴェンティミッリャと書いたが、日本語での表記はヴェンティミリアというのが多いようだ。でも、語頭に「v」がきたり、イタリア語独特の「gli」もあって、しかもその直前にアクセントがあるから、なかなか日本人にはきれいな発音が難しい。無理やりカタカナで書くと、「ヴェンティミッリャ」と「ヴェンティミーリャ」の中間あたりかと思う。

 そういえば、前回書いた「San Remo/サン・レーモ」も実は発音が難しい。「R」が語頭にあるから、巻き舌も強めになるのだが、直前に「n」があるものだから、いったんのどの奥が閉まってから、一気に「ルルル」としなければならない。バスで切符を買うときに、のどと舌が捻挫しそうになった。

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イタリアの旅 北から南まで」カテゴリの記事

コメント

ヨーコさん、私も西リグーリアに行く前は、山岳都市以外あまり期待していなかったのですが、行ってみてなかなか気に入りました。
そういえば、やはりフランスがそれほど好きでなかった若いころ、イタリアのピサからスペインまで夜行列車で一気に行きました。
もっとも、フランスとスペインはレールの幅が違うので、国境で乗り換えが必要でしたが……。

最後に掲載されているブレッソン風に撮られた写真、いいですね~。
私は「日常を過ごしている人」が入っている写真が大好きです。

フランスを好まなかった以前、カタルーニャ地方(スペイン)からの夜行列車でフランスを飛ばしてミラノまで入っていました。
駄菓子さんの案内のおかげで、イタリアのこの地方に俄然感心が湧いてまいりました!

*今は農業大国「フランス」大好きです。

アトムズさん、トスカーナのあたりののどかな丘上都市とは大違いでした。ごちゃごちゃして、ちょっと汚いところもあって (^^;;
確かに、写真にしてしまうと、どこか整然としてしまいますね。

EUになってから付いたナンバープレートには、国名のイニシャルが表示されるようになりました。だから、すぐにわかるんです。
イタリアは「I」、フランスは「F」です。
ただ国によっては想像できないアルファベットもあるんですが。
ここに一覧がありました。
 ↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/欧州連合のナンバープレート

Pentaさん

>川の方に歩いて行くと丘の頂に教会がありましたね。

まさにその教会が、トップの写真です。
「ソテツ?並木の公園」というのは、駅から海岸のほうに歩いていったところかな。
本当に、あのあたりの新市街は人でいっぱい。車も渋滞していました。

一番下の写真、いいでしょ……自画自賛、いや自写自賛というのかな(^^;;

 町中の写真を拝見すると、トスカーナの田舎町っぽい雰囲気ですね。実際に行ってみると違うのかも知れませんが。

 オランダ、ベルギーの辺りを回った時に、アムステルダムに住んでいた同行者にナンバープレートのアルファベットで国が解ると教えて貰いました。日本の神戸ナンバーとか品川ナンバーというくらいの雰囲気で、いろんな国の車が走っていて驚きました。日本じゃ、韓国ナンバーとか中国ナンバーとかの車は走りませんもんね。でも、フェリーで韓国とか行けるんでしょうか


 

ヴェンティミッリャも、別の日に列車で行きました。

僕は坂道は登らず、ソテツ?並木の公園とその周辺を歩いただけで、またサンレモに帰りました。

川の方に歩いて行くと丘の頂に教会がありましたね。

一番下の写真。セザンヌとかユトリロの絵みたいですね。

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著書

  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
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