« チンクェテッレ: 5か所・札所巡り | トップページ | リヴィエラ海岸に背を向けて1: 絶景の山岳都市トリオーラ »

2009-06-27

ひとときの贅沢: ジェノバ

 チンクェテッレ巡りのあとの宿泊地は未定だった。
 妻はこれで今回の旅行の最後の夜。「どうしても本物のジェノベーゼソースを味わいたい」と何度もうわ言のように繰り返すので、当日朝になってジェノバのホテルの予約をとった。

 だが、問題が1つあった。翌日の成田行きの飛行機は14時25分ミラノ発。ジェノバからミラノに向かう列車が1時間半以上遅れると、日本に帰る飛行機に乗り遅れる可能性がある。だが、そこは夫婦揃って「明日のことは心配しない」性格である。
 また、ミラノに泊まるのも芸がない。乗り遅れたらそのとき考えようということになった。

ジェノバの「9月20日通り」

 さて、ジェノバに着いたのは夜9時ごろで、陽の長い夏時間でも、さすがに薄暗くなっていた。荷物をひきひき大通りを歩いていると、ポルティコ(アーケード)も建物もスケールが、ほかの町にくらべて異様に大きい。
 世界をまたにかけた港町という歴史を感じさせる町並みである。

 実は、ジェノバ訪問は2回目である。とはいえ、前回の1985年の訪問では、市内で写真を撮っていただけで警察に連行されるというハプニングがあって、じっくり町を見ていない。
「へえー、こんな町だったんだ」と改めて驚いた。

ホテル「ブリストル・パレス」の階段

 ネットで108ユーロで予約した4つ星ホテル「ブリストル・パレス」に行くと、通されたのはだだっ広い部屋。なかでソフトボールができそうである。エクストラベッドが2つも置いてあったのは妙だが、これがないと私たち日本人にはスペースが空きすぎて不安になってしまうかも。もちろん清潔であった。

 壁に張ってあった表を見ると、通常価格は480ユーロと書かれている。まあ1泊6万円の部屋も、空にしておくよりは、1万4000円くらいで使ってもらったほうがいいんだろう。
 ちなみに上の写真は、ホテルの階段を下から見上げたところ。とっても芸術的。

だだっ広い部屋

 そして、メインイベントのジェノバ料理である。何の知識もなくホテルそばにある「ゼッフィリーノ(Zeffirino)」に行くと、そこは老舗感たっぷりの雰囲気。家族経営で、親を継いだ5人の息子が運営していると書かれていた。
 ちょっと高いけど、2人ともジェノバ料理のおすすめコース60ユーロ也を注文。食べ物自体が高くても、ワイン代が日本にくらべて格段に安いから総額を抑えられるのだ。

ジェノバ風のショートパスタ

 で、ジェノベーゼソースである。実は、日本ではいま一つ食指が動かず、あまり頼んだことがないのだが、そうした先入観が吹き飛んだ。ここのソースなら、また食べてみたい。
 メインで頼んだ魚のソースにもバジルが使われているのだが、こちらはまた上品で絶妙な味付けであった。

こんな店でした

 カメリエーレのおじさん(といっても、私と同じくくらいの年に違いない)も親身で丁寧、しかもちょっとお茶目なところがあって楽しかった。

 この店のジェノベーゼソースは教皇庁御用達らしく、シェフが先代と今の教皇にソース入りの瓶を捧げている写真などを見せてくれた。
 こうして、またもや寝る前に胃薬の世話になった私たちである。

« チンクェテッレ: 5か所・札所巡り | トップページ | リヴィエラ海岸に背を向けて1: 絶景の山岳都市トリオーラ »

イタリアの旅 北から南まで」カテゴリの記事

コメント

leoさん、今回はだいぶ近くまで接近したのに、フィレンツェまで足を運ばずにすいませ~~ん。

フィレンツェとヴェネツィアは、ホテルが高くてとりにくいというイメージがあるんですが、最近のフィレンツェはそうではないんでしょうか?
実は、マッサやグロッセートあたりは、そのうちに行ってみたいと、秘かにたくらんていたりします。そのときはぜひジェノベーゼをいただきに訪問します!

ヨーコさん、私もジェノバはちょっと恐いというイメージがありました。港町ですから、危なっかしいところがあると聞いていましたし。でも、最近はだいぶ変わってきたそうです。
パスタはショートパスタなんですが、フジッリではなく、サルデーニャでよく見かけたものです。
わが家では「うじ虫パスタ」と呼んでいます。似てるから (^^;;

KAOさん、こんにちは。
私の旅はひたすら歩きます。無理に歩こうとは思わないんですが……。
だから、腹が減って、ついて食べすぎてしまうんです (^^;;

あら、またお近くまでいらしてたのですね。
会えなくて、残念です・・・。

トスカーナにも綺麗な海、
あるんですよ。なんでも水質検査では
イタリア一美しいとされるのが
トスカーナの海岸なんですって。
山のイメージが強い地方ですが・・・。

フィレンツエもこの時期、
ファッション関係の見本市があって
例年ならとても市内のホテルは高くて
とれないのに、今年は違います。
友人はこの時期、4つ☆でチェントロのホテルを
余裕で予約していました。
しかも数日前に、お手頃価格で。

そうそう、私のジェノベーゼもかなり好評ですから
いつか是非!!

私は7月1日から3週間、お里帰りです!

凄く豪華なホテルに宿泊されたのですね、お徳度満点で羨ましいです!
ペストジェノベーゼ、実は私の一番好きなパスタソースです。
フジッリという種類のパスタでしょうか、この写真。
鮮やかなグリーンのソースが凄く美味しそうに絡まっていますね。
私はこの街の港から夜行の大型客船(フェリー)を利用して、至極快適なパレルモまでの船旅をしました。
下町の港近辺の商店街には、注射器が沢山捨ててあったのが印象に残っていますが、労働者の人達が多く利用していた、庶民的な食堂で食べたペストジェノベーゼのスパゲッティが忘れられません。
そしてお勘定は取ってもらえませんでした。


ジェノバソース美味しそうですね~
是非是非、お二人と一緒に旅してみたいです。
帰国したらまたゆっくりお話聞かせてくださいね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« チンクェテッレ: 5か所・札所巡り | トップページ | リヴィエラ海岸に背を向けて1: 絶景の山岳都市トリオーラ »

著書

  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
無料ブログはココログ

.