リヴィエラ海岸に背を向けて1: 絶景の山岳都市トリオーラ
ジェノバを朝出発し、ミラノ空港で妻を見送ると、いつものように旅の後半は一人旅になる。
その後は、ボローニャ、フェッラーラ、アスコリ・ピチェーノ、ウルビーノなどに立ち寄ったのだが、それを書いていると帰国まで終わらないのが明らかである。
というわけで、それらの町のことは帰国してからまとめることにして、おととい、きのうに行って感激してきた町について書くことにしたい。
再びジェノバ、チンクェテッレを通過しててやってきたのはリヴィエラ海岸。フランス国境に近いインペーリア(Imperia)に宿をとった。
とはいえ、人でいっぱいの海岸で泳ぐわけではなく、海に背を向けてバスで山岳都市を目指したのである。
リグーリア州のこのあたりには、高い山の頂上にかなりの規模の町がつくられていることで、その筋には知られているのだ。
この日行ったのは、音楽祭で有名な保養地サン・レーモ(San Remo)から2時間近く山道をのぼったトリオーラ(Triora)である。
海岸近くは晴れていたのに、山に入るにつれて空が黒くなってきた。しまいに雷鳴がとどろいて土砂降りになるが、バスの運転手も乗客も平然としている。
こんなときに山の上(といっても標高700mちょっと)の町に行ってどうすればいいんだと茫然となるが、やがて雨もやんで、16時半に人口400人の村トリオーラに到着した。
ここで20時発の最終バスまで過ごすわけである。
そんなに間が持つかどうか心配だったが、上の写真にあるように、このうえない絶景に恵まれて、時間のたつのも忘れるほどだった。
イタリアで見た絶景といえば、ミケランジェロ広場からのフィレンツェの市街地やヴェネツィアが思い浮かぶが、このパノラマの風景のなかに山岳都市が点在する光景は、それにもまさるものであった。
これまでに私の見たイタリア絶景のうち、ナンバーワンに推薦したい。
1枚目と2枚目の写真は、村で一番高い場所にある墓地のそばから、再び近づいてくる雷鳴におののきながら撮ったものである。周囲にはさえぎるものもなく、雷の音がしはじめると、急坂を転がるように降りてきた。

町の中の道は坂とトンネルだらけ。そこを昇り降りしているだけで、ちょっとした登山気分である。
そんな穴蔵のような道を出た岩の中に、下の写真のようなマリア像があった。日本でも観音さまの像が立っていそうな洞窟である。キリスト教伝来以前の意識が残っているのかもしれない。
小さな博物館では、このあたりにかつて魔女伝説があったということが書かれていた。
さて、こうした山の中だけあって、サラミ、チーズ、はちみつなどはいいものがとれるそうだ。そして、タルトゥーフォ(トリュフ)も。村外れには、「無断でキノコを採るべからず」の看板が立っている。
ここにはイタリア人よりも、むしろフランス人観光客がよくやってくるようである。おかげで、軽食がとれるバールがあったのは幸いであった。
最後の2枚の写真は、村民400人にしてはおしゃれなバールの店内と、村のメインストリートの風景。ここが随一、いや唯一の繁華街で、小さな博物館のほか、土産物屋が1軒、バールが2軒あった。


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Pentaさん、ここはさすがに最初から予定していました。
なにしろ、日にバスが数便ですから。
でも、途中で降りたい町があるときは、帰りに下車したり、翌日に再訪問するか、何年後かの宿題にします。
投稿: 駄菓子 | 2009-06-30 03:39
ikeさん、私の旅はバスの時刻表と運転手を信用しなければ成り立ちません。あとは運命に身をゆだねるだけ。
もし来なかったら……その町に宿泊するのかなあ。
あ、でもパスポートをホテルに預けたままじゃ、泊まれないか。
投稿: 駄菓子 | 2009-06-30 03:35
トリオーラという村には、ここに行こうと決めてバスで行ったんですか、それとも、バスに乗っていて「ここが良さそう」と思ってその場で決めたんですか?
投稿: Penta | 2009-06-29 10:35
>ここで20時発の最終バスまで過ごすわけである。
妙に感嘆してしまったのが、この一言。
時刻表に騙され、地元の人の話に騙され、運転手の話に騙されて帰れなくなったりするのが心配で、私はこういうことができません。
投稿: ike | 2009-06-29 09:58