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2008-12-03

もう一つのナポリ:ヴォメロ

 サレルノに2泊した後、ナポリに2泊。出発前にひいた風邪はすでに治っていたのだが、疲れたりアルコールをのどに流し込んだりすると、まだ咳が出る。
 そんなわけで、遠出は控えて、ポジッリポの丘の上にある眺めのいいホテルを起点にして、ケーブルカー、地下鉄、バスを使ってぶらぶらと町歩きに徹することにした。

 今回、印象に残ったのは、丘の上にあるヴォメロ(Vomero)の町。ヴォメロというと、「ヴォメロの洗濯女」という古い古い歌(確か、13世紀ぐらいのナポリターナ)くらいしか基礎知識はなかったが、前回のナポリ訪問でその一部をかすめて歩いたことはあった。

ヴォメロ
 今では地下鉄1号線が通っているので、手軽に行ける。ちなみに国鉄が運営している2号線とは、Museo(ムゼーオ)駅て接続。ただし、2号線のPiazza Cavour(ピアッツァ・カヴール)駅との間は、東京の大手町並みの長い連絡通路を歩かなくはならない。

 ヴォメロは、地図で見るからに区画整理されていて、いかにも新市街という様子である。もしかしたら、冬物バーゲンでいい買い物ができるかもしれないと思っていたわけだ。

 ところがである。地下鉄のMedaglie d'oro(メダッリェ・ドーロ)駅(「金メダル駅」という不思議な名前)で降りて少し歩くと、ナポリの下町を思わせる一角が目に入った。

ヴォメロ

 思わず、ふらりとさまよい込むと、店先に野菜や果物が山積みになっており、ひっきりなしに客が出入りしている。まさに、ここだけが昔のナポリという雰囲気。例によって、小さなカメラで、堂々と、しかしこっそりと写真を撮った。

 こういう濃い生活空間場所にあまり長居をしてもいけないので、5分ほどで撤退。バスの通る道に戻ったが、そこは並木道となっており、絶妙なカーブがナポリとは思えない気持ちよさである。
 さらに進むと、細かい石畳の歩行者専用道と交差。歩行者専用道にしてはかなり道幅の広いそのアレッサンドロ・スカルラッティ通りには、有名ブランド店から地元の小さな店までが並んでいた。
 ナポリ観光に飽きたら、こんな場所に来るのもいいかもしれない。

ヴォメロ

 下界のナポリに戻ると、道路は昼過ぎの大混雑。市営バスのストライキが予告されていたために、自動車通勤にした人も多いのだろう(ストは午前中に中止になったらしい)。
 けたたましいクラクションと排気ガスの臭いにくらくらしながら、ナポリに来た実感にひたっていた私である。

 こうして今回の旅も終わり、これを書いているのが帰りの機内。12月2日夕刻に成田着の予定である。
 ナポリからミラノ・マルペンサ空港までの飛行機も予定通りに飛び、何事もなく平和な旅の締めくくりであった……と書きたいところだが、そうは問屋が卸さなかった(ちょっと懐かしいフレーズ)。

 夜8時過ぎのミラノ・マルペンサ空港構内。搭乗時刻まで30分以上もあるのに、なぜか空港係員と2人で走っている私。出国のパスポートチェックに割り込み、動く歩道を全速力で駆け抜ける。
 それはそれは、とんでもないハプニングが最後に待ち受けていたのである。


 というわけで、今回の旅の「現地編」は、これにておしまい。大ハプニングの顛末は、ネコ写真、チンクェチェント写真とともに「総集編」にて。

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イタリアの旅 北から南まで」カテゴリの記事

コメント

minaさん、とりあってくれてありがとうございます (^^;;
でも、本当に真っ青になって、血圧が乱高下しそうな体験でした。
時差ぼけが治ったら(単なるボケかもしれませんが)、すぐに書きますから、もう少し待ってくださいね。

Pentaさん、おはようございます。

>これはどういう意味なんですか?、現地の人たちの仕事場と買い物をする
>場所にいては邪魔になると思ったからですか?

ちょっと説明不足でした。ただいるだけならいいのですが、カメラを構えられて、普段着の生活の場をうろうろされたら嫌だろうなと思って自粛したわけです。

本当にイタリアは坂の多いところです。足が丈夫なうちに行かないと、本当のイタリアは楽しめないと思いますよ。

どんなハプニングか興味しんしん・・
総集編はいつ書いていただけますか?
ひっぱるんやねえ。

もう、イタリアから帰国しているんですね。
いいですね。、「ちょっとイタリアまで」と言って行けるのは。(笑)

>こういう濃い生活空間場所にあまり長居をしてもいけないので、5分ほどで撤退。

これはどういう意味なんですか?、現地の人たちの仕事場と買い物をする場所にいては邪魔になると思ったからですか?

それにしても、イタリアは坂が多いですね。(笑)
それに、どんな小さな物にまで捨てたり壊したりするにはもったおないほどデザインが施されているって感じですね。

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  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
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