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2008-12-02

アグローポリをギリシャ語で言うと……

 ターラントに1泊してから、一気にサレルノ、ナポリに向かうことにした。ポテンツァ周辺の山の中を巡ることも考えたが、雪が降るというし、かなり疲れもたまっていたので、町に出ようと思ったわけである。
 ホテルでパソコンに向かって、ちょっとばかり仕事もしなくちゃならなかったし。

旧市街入口

 とはいえ、仕事と天気の合間をみて、町めぐりは外せない。
 サレルノのホテルをゆっくりと出て、行き当たりばったりに乗ったバスで1時間あまり南下。アグローポリ(Agropoli)に向かった。

 この町については、名前は知っていたが、前もってまったく情報を仕入れていなかった。バスの車内でイタリアのガイドブックを見ると、ここもナポリと同じくギリシャ時代にできた町だという。
 町の名前は、ギリシャ語の「Citta' alta」、つまり「上の町」「高いところにある町」に由来していると書かれている。
 この記述を読んだ瞬間、私の明晰な頭脳はすべてを把握した。
--なんだあ、「アクロポリス」じゃん!

アグローポリ旧市街

 すでに乗客が私一人になっていたバスが、小さいけれども賑やかな広場で止まると、年配の運転手は、「旧市街はここを右にずっと行くといい」と教えてくれた。

 やがて、行く手に急坂とも階段ともつかない道が見えてくる。トップの写真である。
--雪の日には、すべって転ぶ人が続出かな。
 なんて思いながら、ひいはあ言いながら登っていくと、古めかしい小さな門が見えてきた。なんと、旧市街はそのなかにあったのだ。

 先日のカステルサルドと同じである。海に突き出した丘の上の、さらに狭い城壁に囲まれたところにある旧市街。
 新市街の近代化された町からは想像のつかないような古典的な町が、まるで息をひそめているかように存在していたのである。

アグローポリ旧市街

 時間と体力があれば、岬をまわりこんだ先にあるカステッラバーテ(Castellabate)の町も訪問するつもりだったが、それは次回の宿題にしておこう。晴れた日のね。
 アグローポリの町は、たいして期待していなかった分だけ、喜びもひとしおであった。
 そうそう、行き帰りのバスの車窓から、パエストゥム(Paestum)の遺跡が塀越しに望めたのも、望外の喜びであった。

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イタリアの旅 北から南まで」カテゴリの記事

コメント

そうですか! 楽しんできてください!
かなり暑そうなのでお気をつけて。

お返事有難うございます。
カステッラバーテにも足を延ばすつもりです。

私が行ったときは天気が悪かったので、こんな写真だけですいません。
晴れていたら、さぞかし眺めがよかったでしょう。
アグローポリまで行ったら、その近くのカステッラバーテもお勧めです。
私は行き損ないましたが……。

近々この街を訪れる予定があり、記事を拝見させて頂きました。
カンパーニャ州へ行くのはかなり久しぶりで、17年ほど前にNapoliに3泊して以来です。
モッツアレラが楽しみです。

ヨーコさん、うらやましい!
読んでいたらお腹が空いてきました (^^;;
そんな出来立てのモッツァレッラ・ブッファラを食べてみたいない。
いい食材を使った、おいしい料理だったことでしょう。

andyさん、サレルノには1985年以来、数回訪ねています。
常宿は駅前のHotel Plazaです。行くたびに、少しずつきれいになっていくのがおもしろい。オーナーの親父さんがとっても穏やかで親切なのが気に入っています。

そういえば、12年前に両親を連れてイタリアに行ったのですが、今は亡き父が、「サレルノはよかった」と何度も言っていたのが印象的でした。
ヴェネツィアやフィレンツェやアマルフィも行ったのに。

水牛農家を訪れたのは偶然でした。
水牛達と触れ合い、ブッファラ加工過程見学後(TV番組みたいに触らせてはもらえませんが)、出来たてのチーズを購入する予定でした。
ついでに、地元でお勧めの食堂を紹介して欲しい旨を伝えると、「うちの庭にテーブルセッティングするから、ランチを食べてって。」と有難い申し出。(商売上手な農家さん)
出来立てのブッファラをカットすると、ミルクがしたたり落ち、こんなに甘いのかと感動したのを覚えています。
この農場には、近辺の街から、多くの地元民が買い出しに来ていました。

サレルノに良く泊るのですか?
サレルノは日本と同じ位治安が良く安心して暮らせます。
道が狭く車の運転は非常に気を使いますが・・・

人口は16万人ですが、狭い市域なので人口密度は大きいですね。
町の中心は5-6階建の建物で2階以上は住居です。町の中心街に住むのが皆さんの理想のようです。

andyさん、はじめまして。
サレルノにお住まいなんですね。ナポリのようにごちゃごちゃしておらず、ほどほどの大きさなのが居心地のよい町という印象を受けました。
南イタリアに行った帰りには、よくサレルノに1泊します。交通の要衝でもありますよね。

サレルノに宿泊されたと書いて有ったので投稿しました。

小生サレルノに住んでいます。パエストム(ペストム)、アグロポリ、アマルフィ、チレント等は同じカンパーニア州サレルノ県です。

アグロポリの町は天気が良ければ海越しにサレルノから見えますね。
サレルノ近郊には漁港が多く、海の幸を提供するレストランがサレルノには在ります。

どひゃー、ヨーコさん、コメントをいただいていたのを見過ごしてしまいました。
以前の記事を読んでいたら、以前にも前科があったようで……すいません。
パエトゥムは、サレルノとアグローポリの中間地点よりも、ずっとアグローポリ寄りにありました。
わざわざバスも脇道に入って、パエストゥムの遺跡をめぐってくれましたよ。もっとも、季節外れだったし、雨だったので、乗降客はいませんでしたが。
周囲には低い塀がめぐらしてありましたが、ギリシャ神殿は道からもまあまあよく見えました。
水牛農家はぜひ見たいなあ。モッツァレッラをつくるんでしょうか。

Paestumは2度訪問しています。
一度目は、水牛農家訪問と保存状態の良いギリシャ神殿見学、2度目の目的は、水牛農家訪問と考古学博物館での興味深い石棺鑑賞でした。
アグローポリはpaestumから近いのですか?

この町の建物は、あまり全体的な「修復」が行われていなくて、年月の経るままにまかせているという感じでした。

「壁」の質感が抜群かと。渋くていいですね。

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  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
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