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2008-07-26

生きているフリウリ語

 今回旅行をした地域で、イタリア北東端にあたるのがフリウリ-ヴェネツィア・ジューリア州。
 このあたりでは、フリウリ語という独特のことばが話されている。
 といっても、レト・ロマンス語の一種というから、イタリア語とはそれほど遠くない。
 観光案内の看板や町の表記などには、イタリア語とフリウリ語が併記されていた。よく見ると、イタリア語には使われないアクセント記号があったりして、なかなか興味深い。

フリウリ語とイタリア語の観光案内

 町なかでも一般に話されているようで、チヴィダーレからウーディネに戻る私鉄の車内では、隣のボックスのおばさんの会話をじっくりと拝聴することができた。
 基本的な語彙は共通しているようだが、イタリア語の特徴の一つである語尾の母音が省かれることが多いようだ。そして、代名詞や冠詞らしきことばが、単音節のものが多いように聞こえた。

 だから、イタリア語のなめらかなリズムとは違って、よく言えば歯切れがよく、悪く言えばブツブツと切れる感じに聞こえる。
「あ、知っている単語だ」と思って聞いていると、突然、耳慣れない発音の連続になったりするわけ。
 総じて、何について話しているかは見当がついたが、内容はほとんど理解できなかった。

ポッファブロのイタリア語・フリウリ語表示

 あくまでも素人の感想であるが、これまで聞いたことのあるなかでは、スペインのバルセロナを中心に話されているカタルーニャ語(カタラン語)に似ていた。ちなみに、標準スペイン語(カスティーリャ語)は、のどの奥から出てくる「j」の音(ハ、ホなど)があるから、また印象が違う。
 そういえば、トップの写真では、「門」を表す「Porta」が、フリウリ語では「Puarte」になっている。なんかスペイン語の「Puerta」そっくりである。

 2番目の写真は、ポッファブロの村の入口。上がイタリア語で、下がフリウリ語。フリウリ語では、ポファブリというのかな。文字通り読むと。
 下の写真は、フリザンコのある家にかかっていた看板(?)。「CJASA」は「CASA」(家)なんだろうなあ。「カーザ」じなくて「キャーザ」なのか?

フリザンコで見た看板

 ウーディネの小さな食堂で働く、愛想のよい若い女の子に聞いてみた。
「若い人たちもフリウリ語を話しているの?」
「私はここ出身じゃないからわからないんだけど、地元の子たちは『道の上のことば』でよく使っているわ」
 どうやら、俗っぽいことばや隠語で生き残っているようである。
 東京の人間が、「いいじゃん」「そろそろ行くべえ」なんて、微妙に関東方言を使っているような感じ?

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イタリアの旅 北から南まで」カテゴリの記事

コメント

風さん、フリウリでも、昔はぼてふり稼業はあったでしょうね。
いまじゃ、軽トラックで野菜や果物を売りに来るようですが。

先日、お邪魔したとき、これだけ見逃していたみたい。フリウリ語は初耳です。タイトルを見た時はぼてふりの売り声かと思いました。今でもそんな稼業の人がいるのか、と覗いて見れば…イタリアのお話でしたのね。

ロマンシュ語こそが、レト・ロマンス語の直系なんでしょうかね。フリウリ語にはかなり近いのかな。
ベルニナ鉄道に乗って、サンモリッツ周辺をめぐったときに、タクシーの運転手が、「私は普段ロマンシュ語を話しているよ」と言っていましたっけ。
「ありがとう」が、「グラツィウム」だとか。なんか、ラテン語の香りがしました。

こういった古めかしいローカルな言語を聞くと、わけもなくワクワクします。
スイスに行ったとき、お土産屋のおばさんとご近所の知り合いが、ロマンシュ語でF1予選の結果についておしゃべりしてました(公用語だから当たり前か)。
大昔の人たちの会話もそんな風だったんだろうと、(あまり根拠のない)想像をしてしまいます。

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