« バッサーノ・デル・グラッパの2つの顔 | トップページ | 居心地のよさそうな州都:トレント »

2008-07-03

日曜でないとダメだった:アーゾロの城砦

 バッサーノ・デル・グラッパにあるエアコンなしのホテル(しつこい)に荷物を置き、27日の朝に向かったのは、丘の上にあるアーゾロ(Asolo)の町である。

プレトリオ宮(女王の城)


 ヴェネツィア貴族の娘であるカテリーナ・コルナーロがキプロス王に嫁いでのち、夫の死後ここに移り住んだということがガイドブックに書いてあった。
 そして、ロバート・ブラウニング、ヘンリー・ジェイムズ、ヘミングウェイといった詩人、文学者たちもこの町を愛したのだとか。

 バッサーノからはバスで約20分でふもとの停留場に到着。そこから旧市街へ行くミニバスに乗り換えるわけだが、そもそものスタートからつまずいた。

 詳しくはまた書くとして、バッサーノで目の前に止まっていたバスに乗り損ない、やむなく遠回りで鉄道・バスを乗り継いで行くことなったわけだ。

 それだけならまだしも、昼すぎにようやくアーゾロに到着したと思ったら、大粒の雨が降ってきたではないか。

 まあ、これも「今のうちに飯を食っておけ」という神と仏の知らせと受け取り、広場に面したテラスで昼食をとることにした。
 店はビッレリーアと書かれているだけあって、ビールのメニューが豊富であった。まずベルギーの生ビールを頼んでから、メニューを店長らしき人に相談する。
 彼は、たぶんナポリあたりの人か。少なくともローマ以南の顔をしていた。

アーゾロでの昼食

「ハムの盛り合わせ? このメニューの品じゃ量が多いので、適当に見つくろいましょう。チーズもつける? それから、インサラトーネ(野菜などの盛り合わせ)もデカ過ぎるので、一人分にしておきますよ。パンもつけましょうね」とひどく愛想がいい。
 そうして出てきたのが上の写真のメニューである。
 グラスで白ワイン、赤ワインも立て続けに注文。値段もほどほどで、気分よく食事ができた。
 食べ終わったころには雨もやんでいて、これでいいのだ。

中心の広場


 食後、まず目指したのは丘の頂上にある城砦である。
 ここからは、町の全景が見渡せるはずで、パンフレットにはよだれの出るような美しい写真が印刷されていた。

 ところがである。

味わい深い路地


 行ってみてから気がついたのだが、城砦を公開するのは日曜日のみというではないか!
 雨のおかげで、じとじとと湿った空気のなか、大汗をかいて骨折り損であった。道の途中からは木が繁りすぎてよく見えないのだ。城砦にのぼらないと意味がないのである。

 ちなみに、なんとかと煙は高いところに昇りたがるというが、なんとかが何を指すのかは、私にはよくわからない。

 まあ、あとはぶらぶらと小さな町のなかを見物するしかなかった。確かに落ち着いた気品のある町であることは確かである。

 そして、ふもとの新市街と合わせても人口が7000人あまりという小さな町なのに、坂道の両側には商店街があってしゃれたものを売っている。

 でも、私はとにかく全体を俯瞰できる場所で写真を撮りたい……なんて思っているうちに、坂道をおりてふもとのバス停まで着いてしまった。

「まあ、いいか。次は日曜日に来よう」

 バスが来るまでの約30分間、交通量の多い国道沿いで、私は強い日射しを避けて日陰にぼんやりと座っているしかなかったのである。

« バッサーノ・デル・グラッパの2つの顔 | トップページ | 居心地のよさそうな州都:トレント »

イタリアの旅 北から南まで」カテゴリの記事

コメント

アトムズさん、アーゾロに立ち寄ったのはいい選択だったのではないでしょうか。
急いでいると、小さな町にしか感じられませんが、のんびり歩いているといろいろ発見がありました。

日曜日は周辺の人たちがずいぶん繰り出してくるようです。

ikeさん、空腹だったのでもう一品頼みたかったのですが、城砦に登るために抑えておきました。

そういえば、今回の旅では日中暑すぎたためか、ネコに出会うチャンスが少なかったのですが、その少ない1回がアーゾロでした。

アーゾロはちょっとした別天地ですね。
国道まで降りてくると、「下界に降りた」という印象です。
そうそう、タイトルは「日曜はダメよ」を念頭に置いたんですが、ちょっと苦しい?

Pentaさん、本来ならばあれで終わらず、あのあとにパスタがあって、メインの肉か魚料理が続くはずです\(^o^)/
(その場合、左側の野菜はメインの付け合わせですね)

イタリアのバスの切符の買い方は実に複雑怪奇です。
市内バスは信用乗車というシステムで、あらかじめ町のタバコ屋や切符販売所で切符を買っておき、車内で自分で機械に通すというものです。
その場合、運転手は切符やお金にはタッチしません。
万一、検札が乗り込んできたときに切符を持っていないと、目の玉の飛び出るほどの罰金をとられます。

市外に出るバスでは、信用乗車のほかに、乗るときに運転手が切符をチェックしたり、運転席で切符を売る場合もあります。
バス会社や停留所によってシステムが違っていたりするので、非常に難解です。

降りるときはボタンを押します。紐を引っ張るのは確かマルタにありました。
車内の放送がないので、旅行者はあからじめ運転手に降りる場所を言っておくのがお勧めです。

 アーゾロにも行かれたのですね。私達はわざわざ目指したわけではなく、目的地へ行く途中に通った時に、綺麗な街だなあと思い、ちょっと車を停めて街中を歩いてみたのです。だから、この街がどういうところなのかも全く知らずだったのでした。
 ピンクが印象的な街だったと思います。丘の上の街だったのですね。やたら坂道が多いなあとは思いましたが、納得しました。

アーゾロというと、酔っぱらった酒屋の店主と、曲がりくねった坂道で出会った猫を思い出します。
風景が穏やかで、人も猫ものんびりしていて、平和な感じがしました。

それにしても、デカさが回避されたはずの皿がデカ過ぎます。

あれで一人分の量ですか。
僕なら、ちょっと多いくらいです。
しかも白ワインも赤ワインもあるんでしょ?(笑)

イタリアのバスはだいたい料金はいくらぐらいですか?
後乗りで出るとき、支払う方式ですか?
1日乗り放題のワンデイパスなんかも買えるんですか?

何か日本のバスとかわったところがありますか?
降りるときはボタンか紐を引くとか?

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« バッサーノ・デル・グラッパの2つの顔 | トップページ | 居心地のよさそうな州都:トレント »

著書

  • 辞書には載っていない⁉ 日本語[ペンネーム](青春出版社)
  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
無料ブログはココログ

.