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2008-06-24

荷物を引いてゴリツィア参り

 ミラノ・リナーテ空港を朝7時に出発するアリタリア機に乗り、トリエステ空港に着いたのが10時過ぎ。
 なぜそんなに時間がかかったかといえば、日曜日なので朝の直行便がなくてローマで乗り換えたからだ。
 それなら列車で行ったほうが安いのだが、とにかくアリタリアに乗らなくてはならないわけがあったのである。

 トリエステ空港から最初の宿泊地ウーディネ(Udine)に直行するはずだったのだが、日曜日なのでバスの便が少ない。
 2時間近く待たなくてはならないというので、20分後にやってくるゴリツィア(Gorizia)行きに乗り、そこから鉄道でウーディネに行くことにした。といっても、列車の時刻表をまだ買っていないので、あてずっぽうの旅である。

ゴリツィアの古い建築
カメラを向けている間、待っていてくれたおじさん。でも、最初からこのおじさんを入れて撮るつもりだったのだ。ごめんね、このリコーカプリオGX100は広角側が35ミリカメラに換算すると、焦点距離24ミリなんです。

 ウーディネに2泊して、その間にゴリツィアも行くつもりだったので、たまたま順番が前後しただけのこと。鉄道駅に荷物を預けて、2、3時間ほど町を見学しようかという完璧な計画であった。

 ところが、けしからんことにゴリツィア駅には荷物預かり所がないという。
「その荷物は小さいからそのまま引いていけば」と勝手なことを言う若いカラビニエーリ。ここは中心部まで1.5キロもあるのだ。
 ふざけたやつだと憤慨していたら、ちょうどそこに「Centro(中心)」という行き先表示のバスがやってきたので、あわてて荷物を持ったまま切符を買って乗り込んだ。
 ちなみに、今回のタイトルは「牛に引(曳)かれて善光寺参り」をもじったものだが、いまやオリジナルを知らない人も多くなったに違いない。
 今回、初めて私はリュック兼ボストンバッグをやめて、妻に泣きついて借りた(うそ)ゴロゴロと引くキャリーバッグを持ってきたのである。

ゴリツィアのドゥオーモ

 さて、前置きが長くなったが、ゴリツィアはスロベニアとの国境にある町だ。いや、町の中に国境が引かれてしまったといったほうがいいかもしれない。

 そのあたりの歴史は、調べていただくとして、町なかにもスロベニア語と思しき表記がイタリア語と並んであちこちに記されていた。

 かつては資本主義と社会主義の境界という微妙な位置にあった町(といっても旧ユーゴはソ連とも一線を画していたが)だったのだが、いまやスロベニアもEUに加盟している。緊張のかけらもない(たぶん)のどかな町であった。

イニャーツィオ教会
まるでロシア正教の教会のように、ネギ坊主の塔を持った教会。これを見ても、どこか異国情緒を感じるのであった……ってイタリア自体が私には異国だけどね。

 イタリアのガイドブックを見ると、城砦が最大の見どころらしいので、バスを降りてから急坂をガラガラと登る。強烈な日射しに目がくらくらしたが、城砦はそれだけの価値のある内容であった。
 そして、城砦の上からはスロベニアの領土も見ることができた。

 まあ、そんなことよりも参ったのは、電車に乗り遅れそうになって1.5キロを早足で戻ったことである。最後は10キロを超える荷物を抱えて走った。
 日曜日の市内バスは1時間おきにしか動いていないのだった。 

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コメント

ikeさん、そうなんです。天気がいいせいもあるのか、日本人が思う「国境の町」とはまったくちがって、あっけらかんとしていました。
荷物預かり所は、旅行者にとって本当に難問ですよね。

minaさん、こんにちは! それでも休日に私鉄やバスがほぼ全休の南部にくらべれば、まだましでした。
青空はうれしいけど、死ぬほど暑い!

ゴリツィアとは、目のつけどころが違いますね。
ずっと国境の要塞都市(グレーな感じ)をイメージしてましたが、ドロミテあたりともよく似た、明るい街なので驚きました。

そういえば、駅の荷物預り所って、昔は小さな駅でもあった気がするんですが。今はかなり大きな駅でないと、荷物を預ける場所がないみたいですね。

どうしてと思う位に、日曜日は移動困難ですよね。
ゴロゴロしながらの観光お疲れ様でした。

でも、なによりも、青空に感謝ですね!

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