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2008-06-15

『世界飛び地大全』

 地図好きの身にとって、「飛び地」というのは、どこかロマンを感じる存在である。
 奈良県と三重県の県境に和歌山県の飛び地を見つけたり、埼玉県に東京との飛び地があるのを聞いたりすると、そこにどんな歴史やいわれがあるのかと想像するだけでもおもしろい。
 だが、国内の飛び地ならともかく、国と国との飛び地となると厄介な存在のようである。そんな世界の飛び地を集めたのがこの本。先日、たまたま本屋をぶらぶらしていて見つけた。

『世界飛び地大全』

 有名どころでは、かつての香港・マカオ、西ベルリン、現存するものではジブラルタル、ガザ地区などが挙げられているが、それ以外に、こんなにあるのかというほどの飛び地が取り上げられている。

 とくに多いのが、インド周辺と旧ソ連だ。ソ連が分裂することで、きのうまでは隣の都道府県のような存在で自由に行き来できた場所が、別の国になってしまったのだから大変である。
 とくに、飛び地に住んでいた人にとっては、まったく迷惑な話である。

 それにしても、飛び地の謎を知ることで、世界史が目の前にいきいきと展開されるのがおもしろい。飛び地である西ベルリン(厳密にいうと西ドイツの飛び地ではなくて英米仏の統治下にあったのだが)にも、さらに飛び地がいくつもあり、その一つ、シュタインシュトゥッケンという地域は東ドイツ内にある西ベルリンの飛び地として190人が住んでいたという。

 そこの住民がどのような生活を強いられたかは、この本を読んでいただくとして、第二次世界大戦前には単なるベルリン市の飛び地だったものが、なんと社会主義の大海に浮かぶ資本主義の小島となってしまったのだから、もうこれは単なる悲劇を越えて悲喜劇である。

 ひるがえってみるに、もし敗戦後に日本が英米仏とソ連とで分割統治されていたら、埼玉県新座市にある練馬区の飛び地が、同じような境遇にあったかもしれないわけである。
 中学・高校の世界史の時間に、こんな資料を使って授業をしていれば、もっと面白く勉強できたに違いない。

(発行:社会評論社、著者:吉田一郎、定価:2400円+税、初版発行:2006年8月15日、ISBN978-4-7845-0971-3)

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コメント

あのあたりは川の対岸に飛び地があるんですね。
でも、こんなワイルドな飛び地もありますよ!
http://map.yahoo.co.jp/pl?type=scroll&lat=35.76018995&lon=139.57022489&sc=3&mode=map&pointer=on

>亀戸の沖縄料理店

個人的なネタはこっそり書くように (^^;;
じゃあ、来月になったら。

なかなか面白そうな本ですね。
東京と埼玉の飛び地は、川で「くにざかい」を決めた後に川の流れが変わってしまって出来たようです。
私の住んでいる和光市白子と板橋区の「くにざかい」にもそんな飛び地があります。

亀戸の沖縄料理店に今度連れて行ってください。noodle

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