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2008-06-29

ベッルーノの「固そうな氷」

 25日の午後、マニアーゴ発の県都ポルデノーネ(Pordenone)行きのバスに乗車。きょうで、フリウリ ヴェネツィア・ジューリア州ともお別れである。

 行き先はヴェネト州のベッルーノ(Belluno)。「山の小さなヴェネツィア」と呼ばれている町である。ちょっとした観光地なので、直行バスがあるかと思ったら……ない。
 やはり、バスは州単位の運行がメインのようで、州をまたぐ移動にはバスの乗り換えや鉄道の利用が必要になってくる。

ベッルーノ旧市街

 ポルデノーネで列車に乗り、さらにコネリャーノ(Conegliano)、ポンテ・デッレ・アルピ(Ponte delle Alpi)の2箇所で乗り換えて、ようやくベッルーノに着いた。
 それにしても、いったいどこが「山のヴェネツィア」なのか。行く前から、かなり疑問ではあった。だって、運河がないヴェネツィアなんて……?

 まあ、そんな疑問も現地に行って、ほんの少しわかったような気もした。
 ポルティコのある狭い路地がくねくねと続いている様子が、運河を除くヴェネツィアを思わせないでもない。
 でも、町の規模もずっと小さいし、ちょっと大げさではないのかなあと思いもした私であった。

ドゥオーモ前広場

 ただ、町の中心にあるドゥオーモ前広場は堂々とした風格である。2つの長方形の広場が少しずれたようになって、1つの広場を形づくっているのだ。
 広場を歩いていくにつれ、視界に入ってくる風景がダイナミックに変化していくのは見事というしかない。
 上の写真では、その魅力の50分の1も伝わっていないのが残念である。

 そしてベッルーノは、地図を見ると立派な丘上都市であることがわかる。となると、ちょっと離れた場所から遠景をとらなくてはならない。いや、「……いけない」わけじゃないんだけどね。

 私は厳しい日射しの中を気の遠くなるほど歩いて、とうとう下の写真のようなポジションを発見したのであった。

ベッルーノ遠景

 もう一回、あの暑い中を歩いてくれと言われても断りたいなあ。
 気温は優に35度を越えていたらしい。

 さて、最後の写真は、新市街の中心部。いわば「広小路」といったところか。建物のフロントの線がカーブしているのが味わい深い。
 人影が少ないのもあまりに暑いからである。テラスの日除けの下をよく見ると、人が座っているのがわかる。
 私もここで夕方、食事前にマルティーニ・ロッソというベルモットを頼んだ。

ベッルーノ新市街

 すると、「ギアッツォは入れる?」と、店の若い女の子が尋ねる。
 そうか! と私はここでもまた、四半世紀前に習った語学学校の教えを思い出した。
 それによると、北部のほうでは「……ccio(ッチョ)」が「……zzo(ッツォ)」になるとのこと。
 だから、氷を意味するギアッチョ(Ghiaccio)はギアッツォになるわけ。

 若い女の子がそんな発音をしているのが楽しくて、腹の下から出てくる微笑みを懸命にこらえる私。にっこりと「Si!」と答えた。
 ギアッツォとは、ずいぶん固そうな氷である。気のせいかベルモットになかなか溶けないようであった。

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イタリアの旅 北から南まで」カテゴリの記事

コメント

がっちゃんさん、こんにちは
とうとうブログが終わらぬまま、日本に帰ってきました。
フィレンツェが暑いのは、内陸で盆地ということがあるようです。プーリアやシチリアの海岸よりも暑いことは珍しくありませんよね。
でも、ボルツァーノまでが暑いのにはびっくりしました。もっとも、最終日は夜中に大雨が降ったおかげで、朝だけはひんやりしていい気持ちでした。

イタリアの天気の不思議・・・
ナポリ以南、カラブリアとかシチリアだと行くほうもなんとなく、暑そう。ってイメージなんですが、私がプーリアを旅行中もプーリアが最高気温28℃のとき、フィレンツェが33℃とかなってて、さらにボルツァーノまでも33℃の表示見たとき「???」って思いました。
北だし、緯度だけじゃなく、町全体200mぐらいの高地にあるってイメージなんですけれどね。
フェーン現象って言葉をイタリア語で知らないんですけれど、どうしてそんなに暑いんでしょう?
理由がわかれば教えていただけますと幸いです。

イタリアも雨がほしいところです。夜中ぐらいには……。
きょう日曜日は嵐の予報がでていましたが、どうなることやら。
ポッファブロでは時間が5時間もあったので、西側のPiani di Merieという集落にも行きました。徒歩20分あまりかな。こちらはごく普通のところ。
ポッファブロの東にあるCasa Solaという集落にも行こうとしたけれど、下り坂の連続が見えたので、帰りが思いやられてやめました。
それにしても、Casa Solaって、変な名前ですよね。「家だけ」? 単数だから「一軒家」という意味なんでしょうか。
フェルトレはもちろん行きましたよ!

小さな雁木通りが交錯してる感じがいいですね。
ベッルーノは、10年以上前に車で通過したことがありますが、当時は全く情報が手元になくて、後で素通りしたことを後悔しました。あと、フェルトレも寄ればよかった!

ずっとグーグルアースで道路の線とかをみながら、旅程を想像してみたりしています。
そういえば、次はポッファブロだろうか、フリザンコだろうか、と思ってたら、両方行っちゃったんですね。
ちなみに今日の日本は雨が降りざんこ(恐縮です)。

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  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
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