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2008-01-27

「カールは持ってる?」

 イタリア人の英語は、日本人にわかりやすいというのが通説である。
 確かに、「ローマ字読み」に近い発音をするので、少なくとも英米人が普通にしゃべっているよりは、聞き取りやすいかもしれない。
 でも、「イタリア語が出てくるぞ」と身構えているところで、英語が飛び出してくると、まったくわからないことが多い。

ラグーザ・スーペリオーレ

 そこで、昨年末に行ったシチリアの話であるが、ホテルでも店でもずいぶん英語をしゃべる人が多かった。フロントに着くと、まず英語で話しかけてくる。
 これまで3年連続で通ったカラーブリアにくらべると、その差は歴然としている。さすが世界の観光地だ。

 ラグーザだったか、ホテルでチェックインの用意をしていると、フロントの男性に英語らしき言葉でこう話しかけられた。
「カールはある?」
「は?(カールって何だろう)」
「カールは?」
「へ? 何?(まさか、♪それにつけてもおやつは……のアレじゃないだろうしなあ)」
「カール」
「ほ? ……うーん、イタリア語で言ってみて!」

 すると、彼はこう言ったのだ。
「マッキナは?」
「なーんだ。車のことか……。持ってないよ。バスで来た」
「オーケー」
 というわけで、やっぱり英語よりも、イタリア語のほうが聞き取りは楽だなあと思ったしだいである。

 つまり、このフロントのお兄さんは、「CAR」の「R」をイタリア風にしっかり発音していたということである。
 それに加えて、たぶんほかのヨーロッパ諸国もそうだろうが、イタリアで英語といえば、当然イギリス英語である。そして、イギリス英語は、確かにアメリカ英語よりも「R」をしっかり発音するようだ。
「アメリカ英語なんてダメ。英語を習うんなら、やっぱりイギリス英語だね」
 アメリカには多くの同胞がいるはずなのだが、それがイタリア人の多数意見らしい。

モーディカのホテルの小さなテラス

 それで思い出した。
 十数年前にスリランカに行ったときのこと。
 数日間付き合ってくれた現地のドライバーが、車を運転しながら、「タイヤルがどうの、タイヤルがこうの」と、しきりにつぶやいていたことがあった。
「はて、台湾のタイヤル族のことかな。でも、スリランカとタイヤル族とは関係なさそうだしなあ」
 そして、「タイヤルの交換をしなくては」という一言で、ようやくわかった。
 車のタイヤの調子がおかしいと言っていたのである。

 そういえば、スリランカもイギリスの植民地だった。

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イタリアの旅 北から南まで」カテゴリの記事

コメント

イタリア語で道を尋ねているのに英語(しかもうまくない)で答えられたりするのも困っちゃいますね。
まあ、あちらは親切心からなんでしょうが。

イタリア人の英語には泣かされます。
最初から全て英語だったらいいのですが、(別によかぁないか)単語の中に突然混じる、よくわからない単語って感じです。
「それにつけてもおやつはカ~ル♪」
ですね。

次回はぜひフィレンツェでお会いしましょう!
それまでにユーロが少し安くなりますように……。
一時、円高ユーロ安に向かいましたが、また戻ってしまいました。

そうです。
全然英語とは違いますよね。
今度イタリアにいらっしゃる際には
是非トスカーナも寄ってくださいね。
お待ちしています。

Leoさん、ごぶさた!
昨年末も南しか行かずにすいません。
それにしても、ヌルセですか。
ヌではじまると、ヌラーゲ、ヌーオロなんて言葉との連想でサルデーニャの地名? なんて思ってしまいました。
そういえば、イタリア語でナースって知りませんでした。
インフェルミエーラ(infermiera)っていうんですか?

お久しぶりです。
お元気ですか?
私の友人も
「うちのかみさんはヌルスだ」って
言うからなんだと思ったら
「ナース」でした。。。
イタリア語で言ってくれたら
わかるのに・・・。
でも「ヌルセ」って言わないところが
お茶目ですね~。

あ、やっぱり。
私も、ヴェネチアで2度ほど乗りました。
1回目は、同乗した人たちが買い物していたのを横目に見て、見学だけでおしまい。
2回目は親を連れていったとき、どちらにしてもグラスを買うつもりだったので、あえて乗ってみました。
乗る前に、フロントの親父さんが店のパンフレットを見せてくれて、「ここはいい店だ」というのを信じて。
確かにいい店のようで、シンプルだけど立派なワイングラスを買い込みましたっけ。
店主は上客と見たのか、2階の別室に招き入れてくれて、甘口の上等なワインを振る舞ってくれたんですが、それを母は10年以上たったいまも「あのワインはおいしかった」と、繰り返し言い続けています。

>で、「ちょっとした罠」っていうのは、ムラーノ島で特定のガラス工房専用桟橋に着くとか……?

やはり、ご存じでした?

ムラーノでは怪しいおじさんが迎えてくれまして、ボートを降りるなり、「心配しないで」と日本語で言われ、とても心配になりました。
でも、その時期はまだ「キャンペーン」が始まったばかりだったのでしょうね。罠の方はイタリア流に洗練されておらず、「何も買わなくていい」(日本語)と露骨におっしゃるので、言われたとおり、何も買わずに帰りました。
数年後、性懲りもなく同じボートに乗り、同じおじさんと会いましたが、少し罠も進歩し、余計な安心感を与える発言は一切なくなってました。結局、買いませんでしたけど。

ikeさん、コンベンショナル・ボートって、何か会議でも開かれそうな感じがしますよね。
で、「ちょっとした罠」っていうのは、ムラーノ島で特定のガラス工房専用桟橋に着くとか……?
「お湯」は、その情景を思い浮かべて笑ってしまいました。「アイス」だとどうなるんでしょうか。
そういえば、日本の喫茶店では、カフェ・ラッテの冷たいバージョンを「アイス・ラッテ」なんて言っていますが、これをそのままイタリアで注文すると、冷たいミルクが出てきてビックリでしょうね。
あ、そもそもカフェ・ラッテのアイスなんてないかな。

アトムズさん、こんばんは。
私も英語はサバイバル・イングリッシュ程度なので、さらにイタリア風発音になると聞き取りは厳しいですね。
とくに、アリタリアの機内放送で聞く早口英語は、英米人でも理解できるのか知りたいところです。

ヴェネチアのホテルで、「コンベンショナル・ボート」に乗らないかと勧められ、意味わかりませんでした。何か、意味が分からないまま気楽に乗ったら、罠がありそうでしたし、かなり戸惑いました。
どうも、"conveniente"のお尻の方を英語風の「ショナル」にしていたようです。確かに乗ってみたら便利でした(でもちょっとした罠は仕掛けられてました)。
ま、私の場合、イタリア語にかえられると、ますます分からなくなりますが。

話はそれますが、某航空のスチュワーデスさんが「お湯はいかがですか」と言いながら、真っ黒な「お湯」を注いでまわってました。
たぶん、日本人がホットコーヒーのことを「ホット」と言うため、親切に英語から日本語に直してくれてたんですね。

 駄菓子さんとはまったくレベルが違う話で恐縮ですが、私、イタ語は初歩の初歩ですが、英語は初歩にも行かないくらい出来ません(^_^;)。特に耳にする機会がまったくない為、聞き取りは一層難しいです。
 それで、値段等の数字を英語で言われると解らなくて、イタ語で聞き返して確認することが多かったです。
 「カー」が「カール」ですか。確かに解りませんね。Wordも「オルド」か何か言いませんでしたっけ?

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  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
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  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
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