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2007-12-06

バロックか岩山か・シークリ

 モーディカをベースキャンプにして、周辺をまわる1日目。まずは、シークリ(Scicli)に向かった。
 町の地図をもらおうとツーリストインフォメーションを訪ねると、つまらなそうな顔をした姉ちゃんが「1ユーロ」と言う。
 観光地図に金がかかるのはどうかと思うが、世界遺産に指定されたもんだから、バロック様式の教会の修復に金がかかっているに違いない。おまけに、ラグーザあたりと違って宿泊客も少ないだろうから観光で金が落ちていないだろうと、ものわかりのいい私。

シークリ

 手元のガイドブックに地図がないので、素直に1ユーロを払うと「いま着いたばかりなの?」と、ちょっと優しい声になったお姉ちゃん。
 そうだと答えると、「いま、町の教会のほとんどが内部を修復しているのよね。入れるのはこことこことここ」と、3か所を示してくれた。
「残念だけど、いい?」と言ってくれるが、「だめ」と答えてもどうにもならないだろう。「しかたがないね」と答えると、最後は笑顔で見送ってくれた。

 まあ、私としては町をぶらぶら歩いて、その様子を見ていれば幸せなんだから、それでも構わないのだ。しかも、このシークリは町のなかにごつごつとした岩山が立っていて、斜面に家が建ち並び、山岳都市、丘上都市好きの私としては、好みのタイプである。

キアラモンテ・グルフィ

 いくつかある岩山のてっぺんには、ご丁寧に教会がつくられているから、私としてはいちいち登らなくてはならない。いや、「なくてはならない」のではないが、登らないと気が済まないのである。

 そして、岩の斜面には過去の住居跡と思われる穴があったり、道路に面した岩場ではいまだに穴を掘った住居があったりして、プチ・マテーラといった雰囲気である。

 最後に、修復の終わった教会の中を覗いてみて、そのごてごてした修飾の華麗さと色の鮮やかさにびっくり!
「もっと入れる教会があればいいのに」と、教会の椅子に座りながら、さっきとはうって変わって、勝手な感想を抱く私であった。

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著書

  • 辞書には載っていない⁉ 日本語[ペンネーム](青春出版社)
  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
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