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2007-11-28

カターニャの「象の像」

 カターニャには5年前に訪れたのだが、あまりいい印象はなかった。すすけたような埃っぽい町、駅内にあるインフォメーションの姉ちゃんの応対の悪さ、ホテルの設備の悪さ、ふっかけてくるタクシー運転手などなど、かつてのイタリアの悪いところを凝縮したような町であった。もっとも、観光客に媚びないその態度には、すがすがしささえ感じたものであった。

象の噴水

 そんななかで印象に残ったのは、ドゥオーモ前広場にある「象の噴水」。噴水の中央上に「象の像」があり、その背から伸びる細い塔の先には十字架が据えられている。
「なぜ、象?」
 そう思うのと同時に、夕刻になってその周囲に集まる、膨大な数のおやじ軍団に驚いた。おやじ軍団はどの町にいるのだが、なぜかこの町のおやじは眼光鋭い人が多かった……ように感じられた。そんな人たちと、象のコントラストがあまりにもユーモラスだったのである。

 前回はおやじの眼光に圧倒されて、いい写真が撮れずにいたのだが、今回はゆっくり象を撮ることができた。妻も義母も、その可愛らしい姿に感動してくれたようだ。

「なんで、象なの?」
 ドゥオーモ近くにある星3のホテルのフロントで尋ねると、お兄さんが教えてくれた。
「ずっーと昔に、カターニャに本当に象を連れてきたらしいんだよ。市民の人気者だったんだけど、死んじゃってね。そこで、いつまでも象にいてほしいということで像をつくったということらしい」
「ずっーと昔って、いつごろ?」
「さあ、1400年代とか、そのころかなあ」

カターニャ市内にて

 市の紋章にも、サッカーチームの旗にも象が描かれていて、みんなに親しまれているようだ。
 カターニャの印象がちょっと変わった、今回の旅である。

 25日にカターニャ空港で妻と義母を見送り、例によって今年もこれから一人旅の始まりである。

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イタリアの旅 北から南まで」カテゴリの記事

コメント

「象の噴水」について、語源の意味を初めて知りました。
この暗い何にも無い街に、通算2ヶ月強滞在していました。
アトムズさんも不安な思いをされたのですね。
私にとってこの不穏な街は、シチリアで最も心が休まる場所なんですよね。怖い優しい??不思議です。

カターニャの中心部はだいぶきれいになりましたよ。
街中からエトナ山が見えるときはいいですね。

 駄菓子さん。私もカターニャって今まで訪ねたイタリアの都市の中で一番印象悪い街です。評判悪いナポリより治安は悪い様に感じました。
 まず、車でチェントロに入り込んだ時にスクーターに囲まれたり、最初に駅に着いた時も何か不気味で怖かったです。
 ホテルで、「街中でカメラを出してはいけない」と注意されたのもカターニャだけだし、街中も薄気味悪かったです。
 しかし、慣れて来ると、ひとりでも歩けたし、最初に受けた印象よりは良くなりましたけど。
 象は修復中で幕されていて見れなくて残念でした。

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  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
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  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
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