今年のイタリア旅行はシチリアが目的地。3年連続のカラーブリアからやや方向転換……いや、方向は南イタリアということでと同じか。
最初の数日は昨年と同様にツアコン兼通訳。妻と義母を率いて、パレルモからカターニャに抜ける予定である。その後は、一人でぶらぶらとシチリアからカラーブリアを抜けてローマまで行こうと思っている。
出発当日の21日は成田空港に向かう京成が一時不通になり、スカライナーが運休になってアセったが、なんとかアリタリアのミラノ行きに搭乗。ミラノからのパレルモ接続便も40分ほど遅れ、市内中心のホテルに到着したのは午前1時近くであった。

翌日は、パレルモの東にあるチェファルーをぶらぶら。列車で50分の距離にあるこの町は、海岸沿いにあるこぢんまりとした町で、夏は行楽客で大賑わいだそうだ。
天気もよく、気温も最高で20度ほど。それなりに観光客もいて、ほどほどの賑わいはいい感じである。いくらへそ曲がりな私としても、寒くてまったく観光客がいないのも寂しく思う……ときがある。
デンマークナンバーのキャンピングカーで来ていたお父さんが、海水浴をしていたっけ。
まあ、パレルモ市民としては湘南か鎌倉に行く気分なのかな。
背後に控える岩山がアクセントの町で、アラブ・ノルマン様式のドゥオーモも見事である。
3人で海岸を散歩して写真を撮っていたら、ボンネットにオレンジを積んだ車があった。おじさんが呼び止めるから、てっきりオレンジを買えというのかと思ったら、一緒に記念写真を撮ろうという。
どんな展開になるのかと思っていると、「写真をぜひ送ってくれ」といって住所を書いてわたす。
ふうんと思っていると、連れのやや中年男性が、これまで撮った記念写真の数々を見せてくれた。
どうやら、旅行者と記念写真を撮るのが趣味らしい。ドイツ人やアメリカ人とおぼしき人が多く、相手は男でも女でも、複数でも一人でもいいようだ。
「日本人と撮ったことはある?」
「ない。初めてだよ。絶対に送ってくれよ」
「あい、わかった。たしかに」
そう答えると、両手にいっぱいのオレンジをくれたおじさんである。
道々、おじさんの趣味が話題になったのは言うまでもない。
「商売しているんじゃないのかなあ」
「もう年金をもらっているから、道楽で写真を撮っているんじゃないの。家になっていたオレンジをダシにして」
「いや、道端で途中でもいできたのかもよ」
「年金仲間に写真を見せて自慢してるのかもね」
チェファルーからの帰りの列車は1時間40分遅れてやってきた。
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