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2007年7月の3件の記事

2007-07-07

鹿児島市電・超低床車とナポリ号

 鹿児島市内を走る市電は、全線にわたって架線のセンターポール化が終わり、軌道を芝生で覆う工事が始まっていた。日南線も線路が草で覆われていたが、あれは雑草だから、似て非なるものである。
 芝生の上を走るとなんとなく騒音が少ない……ような気もする。涼しげだし、まあいいか。

 最新の超低床車も見ることができた。これまでの鹿児島の低床車は3車体だったが、これは5車体。横から見るとなかなかスタイリッシュである。こういう車両を、東京あたりで走らせることができたら、もっと路面電車に対するイメージも変わるに違いない。

市役所前を走る超低床車

 鹿児島市電には、友好関係を結んでいる内外の都市にちなんだ車両も何両か走っている。
 どんな都市かといえば、国外ではナポリ、マイアミ、パース、長沙。国内では大垣、鶴岡だ。
 で、下の写真がナポリ号である。

ナポリ号

 鹿児島市とナポリ市は、1960年に姉妹都市の盟約を結んでおり、全国の先駆けになったそうな。
 錦江湾から望む桜島と、ナポリ湾の向こうに見えるヴェズーヴィオ山(ベスビアス火山)の風景が似ていることがきっかけになったという。確かに似ていると言われれば似ている。

 帰ってきてから知ったのだが、鹿児島中央駅前には桜島を望む広い道に、ナポリ通りという名前が付けられている。
 これに対して、ナポリ市内には高台にあるヴォーメロ広場のそばに鹿児島通り(Via Kagoshima)というのがあるのだとか。だが、どうやらこちらは狭くて暗くてショボイ道らしい。
 その格差を知ったナポリ出身の人が、申し訳なく思っていたというのだが、それは仕方がないかもしれない。
 諸外国では、通りの名前はそのまま住所になるのだから、都心部にあるような道の名前をそう簡単に変えるわけにはいかないのだろう。日本だったら、いくらでも道路に愛称が付けられるけどね。

2007-07-06

日南線の旅

 今回の自腹取材の旅は、九州が目的地。6月29日から7月2日の4日間にわたり、南から北まで九州を縦断した。
 29日は午前中に宮崎空港に到着。初めて乗る宮崎空港線で宮崎駅に向かう。
 前回、宮崎駅に降り立ったのは、高校生のときだから、30年以上も前のこと。宮崎駅は知らぬ間に高架になっており、もうそこには蒸気機関車の姿はなかった。当たり前だけど。

 宮崎駅構内の喫茶店で、目をむきながら当日締切りの仕事を入力・送信。肩の荷を下ろして日南線の志布志行きに乗り込んだ。たった1両のデーゼルカーである。

日南線榎原(よわら)駅

 志布志までは2時間40分の旅。山あり海あり田んぼありという、実にのどかな車窓を満喫することができた。
 だが、車内は冷房が入っているはずなのに、なぜか背中のあたりがやけに暑い。
 私の座席の横に、ディーゼルエンジンの出す高温の排気ガスの通り道があると気づいたのは、もう終点が近いころであった。不覚。

 さて、終点まで乗っていた客は、私を含めて3人。30数年ぶりに降り立った駅は無人駅になっていた。
 駅の横にあった機関区もなくなって、ホームが1本あるだけ。ここから都城方面に向かっていた志布志線もなくなり、大隅半島を一周していた大隅線もなくなり、行き止まりの駅になってしまったのだ。

志布志駅前にて

 駅前はきれいに整備されて、以前の面影はない。蒸し暑さにぼんやりとした頭でふと見ると、上のようなポスターが掲げられているではないか。
「九州選抜座長大会」とは、名前を聞いただけでも魅力的な催しである。しかも、ポスター自体がこれまたいいではないか。
 7月10日と11日に、大黒リゾートホテルということろでやるらしいから、興味がある人はどうぞ。

 ちなみに、志布志駅の少し前で県境を越えているので、ここは鹿児島県内である。この日は、ここから鹿児島市内にバスで移動をすると決めていた。
 それにしても、こんな小さな駅前なのに、バス会社別に停留所が3つあるというのも困ったものである。しかも、鹿児島行きのバスは、駅から一番遠いところにあるんだとかで、ひどく蒸し暑い中を約10分、汗びっしょりになって志布志の町を歩いた私であった。

2007-07-05

上諏訪の“裏町”の町並み

 上諏訪の町めぐりの続きである。
 駅前通りを歩くだけでは芸がないと、上諏訪の裏道をぶらぶらしてびっくり。この小さな町には、あちこちに商店街や繁華街があるのだ。
 ある通りは駅前通りと平行に走り、またある通りは直交する。なかには斜めにまじわる道路もあるといった具合だ。線路の反対側にも、並木が美しい通りやら、温泉ホテルやメシ屋が立ち並ぶ通りがある。

裏道の看板建築群

 興味深いのは、そのどの道も、賑わいぶりや寂れぶりが似通っている点だ。だから、実際にはどれが表通りで、どれが裏通りだか区別がつかないのである。
 この規模の町で、歩いても歩いても、次から次へと同じ規模の商店街が現れてくるなんてところは、あまり見たことがない。

 なかでも、いい雰囲気なのは、線路に並行して駅の諏訪湖側を走る並木通り。その名の通り、うっそうとした並木がすずやかである。そして、その通りと交差して諏訪湖に向かう湖明館通りも、両側に古い商店が立ち並んで趣がある。

湖明館通りの商店

 そして、諏訪湖とは反対側、飲み屋が立ち並ぶあたりには、おもしろい建物があちこちに建っている。
 そんな一つが下の店。一瞬、風呂屋かと思ったが、一般の商店である。一種の看板建築なんだろうが、階段状のデコレーションが不思議だ。
 「白作」という布の店らしいが、朝早くてシャッターが閉まっていた。

階段状看板建築「白作」

 町並みマニアでもなければ、東京あたりからわざわざ見物に来ることもないだろうが、何かのついでに途中下車して散歩する価値はある町である。
 もちろん温泉もあるので、ゆったりと湯につかって宿泊するのもいい。そして、こうした町並みが残るように願い、あちこちでお金を投下するのは、なおよい。

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著書

  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
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