二岐温泉
かなり南東北づいてしまったか、奥会津から1週間後、今度は二岐(ふたまた)温泉に向かった。
前週は仕事を兼ねていたのだが、今回は完全なプライベート。いわゆる家族サービスである。
目指す二岐温泉は、福島県にある秘湯の1つで、東北新幹線の新白河駅から村営バス(予約制)で1時間20分もかかる。まあ、そのうちの20分は、途中の売店での休憩を含めた時間であるが。
村営バスというから、小さなマイクロバスを想像していたら、新しい大型バスが待っていたので驚いた。もっとも、これも週末だからだろう。終点の近くには、少客時用と思われるマイクロバスが止まっていた。
二岐温泉の湯は無色透明で、それほどくせがないものの、ゆったりと体の芯まで温まった。
温泉といっても周囲には歓楽街どころか人家もなく、数件の温泉宿が散在しているだけ。
泊まった大丸あすなろ荘は、こんな辺鄙なところにと思われるほど、しっかりとした造りで、料理もうまかった。いのしし鍋もまた格別。
そりゃあ、伊豆や箱根の温泉宿にくらべれば見劣りはするかもしれないが、なにしろこんな山の中である。満点をつけてあげてもいい。

名物の露天風呂は、上の写真にあるように、まさに渓流の脇にある。手前に湯がはってあるところと、右奥の丸いところが温泉。後ろが川である。
宿の人の接客もよかったが、印象に残ったのは宿泊客。夕食はみな同じ部屋でとるのだが、酒を飲んで大声を出す人もなく、みな静かに、しかし満足そうな顔で食事をとり、語り合っているのだった。
「静かでいいねえ」と私。しかし、こんなところまできて、テレビにかじりつく妻である。
「だっていつも帰りが遅いから、この時間の番組を見られないんだもん」
ふとんに横になり、テレビを見ながら、こううそぶくのである。
« 磐越西線の車窓 | トップページ | 野口英世と塔のへつり »
「ニッポン旅ごころ(東京、沖縄以外)」カテゴリの記事
- 道路が拡幅されて──『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』から(4)(2019.11.03)
- 宿場町の面影──『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』から(3)(2019.10.26)
- 消えた水辺──『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』から(2)(2019.10.24)
- 新しい道ができていた──『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』から(1)(2019.10.20)
- 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』上梓!(2019.09.28)
コメント