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2007-06-07

野口英世と塔のへつり

 二岐温泉からの帰りは、また村営バスで新白河まで戻るのも芸がない。
 地図で見ると、新白河よりも会津の谷に行くほうが近いということを知り、タクシーを呼ぶことにした。

 そして、第三セクターの会津鉄道(旧・国鉄会津線)の湯野上温泉駅を経由して、いまや一大観光地となってしまった大内宿を見物。
 大内宿は、何十年も前から存在を知っていたものの、駅からのバスの便がないということで、貧乏学生であった私は二の足を踏んでいた地である。タクシーで行くか、1時間以上かけて歩いていくしかなかったのだ。
 もし、そのときに行っていれば、素朴な宿場町が見られたものを……。逡巡している間に、観光バスが乗り付ける俗っぽい観光地となってしまったわけだ。まあ、それはそれなりに楽しめるんだけどね。

野口英世のラッピング車両

 それはさておき、会津地域はこのところ野口英世で町おこし、村おこしをしようという意気込みらしい。会津若松に行っても野口英世が青年時代に通った道がどこだの、初恋の人の家がそこだのと、観光案内図に書かれている。
 まったく有名人はつらいものだ。ブライバシーも何もあったものじゃない。
 ところで、以前は野口英世というと聖人君子のように思われていたが、最近では金にも女にもルーズだったという実像が伝えられている。もっとも、そのほうがよっぽど人間臭くて親しみが持てるけど。

 会津鉄道で見たのが、上の野口英世のラッピング列車。踏切の向こうからあいさつされたようで、ちょっと笑ってしまう。

会津鉄道のトロッコ列車

 大内宿のあとは、只見川沿いの渓谷「塔のへつり」までタクシーで運んでもらった。
 ここは、川に沿って大きな岩がいくつも、塔のように立ち並んでいる名勝である。
 それにしても、「塔」はわかるのだが、なぜ「へつり」なのか。中学生時代から、時刻表に記された駅名を見るたびに疑問に思っていた。
「運転手さん、へつりってどういう意味?」
「ほら、川の水の力で岩の面が平らになってるべ。これを、こっちの言葉じゃ”へつる”っていうわけ。岩が”へつられて”塔のように見えるから、塔のへつりっていうわけさ」

 数秒の熟考の末、私は納得した。
「あ、”へつる”って、”削る”ことなんだ!」
 いくつになっても、新しいことを知るというのは楽しい経験である。

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コメント

真さん、ここでは初めまして!
いや、火傷しなかったら、立派な農業技術者か、福島県知事か、喫茶店のマスターになっていたかもしれませんしね。
ま、人生は何がプラスになって、何がマイナスになるのだか。
--何か気の利いたオチをつけようと思ったんですが、考えつかない……。

野口英世の伝記は子供の頃読みましたよ〜。
でも、少し大人になったら「だけどさ〜、野口英世って『てんぼう、てんぼう』って虐められても負けずにお勉強頑張ったから偉いお医者さんになれたって言うけどさ〜、左手火傷してなかったらただの(と言ったら失礼か?)お百姓で終わったわけじゃん?」ということに気づいてしまったんだけど。アル中だったとは聞いていたけど、女にもだらしなかったんですか。でもやっぱり野口英世っていいですね。子供の頃の刷り込みでしょうね。

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著書

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    果てしなきイタリア旅 (草思社)
  • 辞書には載っていない⁉ 日本語[ペンネーム](青春出版社)
  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
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