« グラヴィーナに行ってはみたけれど | トップページ | 信州の山の中と見紛うラークイラ »

2006-11-29

バルレッタ、トラーニだらだら歩き

 さあ、翌日はポテンツァに移動だ、と思いつつマテーラのホテルでテレビを見ると、なんとポテンツァは大雨の予報。急遽、行き先を晴の予報が出ているバーリに変更した。
 翌日の昼前、バーリのホテルに荷物を置いて、近郊にある町をのんびり巡ることにした。候補はジョヴィナッツォ、モルフェッタ、ビシェッリェ、トラーニ、バルレッタ、ビトントの6都市である。

 このうち、前の5つはアドリア海に面しており、バーリから順に数キロ~10キロおきに並んでいる、だんご5兄弟(中途半端に古い!)のような町である。イタリア鉄道線が、まるでだんごの串のように貫いているので便がいい。で、ビトントは私鉄が通っている。
 かねてから狙いはつけていたものの、なにかにつけて後回しになっていたエリアである。

 全部は無理だろうが、行けるところまで行こうと、もっとも遠いバルレッタ(Barletta)から順に巡ることにした。

バルレッタのドゥオーモ

 バルレッタに着いたのは昼前。駅近くの新市街は人でごったがえしており、ずいぶん活気がある印象であった。思ったよりも大きな町である。
 プーリアの地方都市というと、バーリ以南のこぢんまりとした町を連想してしまう自分を恥じる。
 それにしても、とある1軒のバールの前に、100人近い学生がたむろしていたのは何なのか。今も不思議である。

 旧市街にあるドゥオーモでは結婚式をやっていた。
 中には入れそうもないので、そのまま城砦をぶらぶら。ところが、ここでも結婚式をやっていて、肝心な場所には入れずに断念。
「まあいいか。どうせついでの旅だし」
 すでに、南イタリアの毒がかなりまわっていた私である。

バルレッタ旧市街で見た通風口?

 次のトラーニ(Trani)に着いたのは、すでに昼休みの真っ最中。バルレッタとは一転して、静まり返った新市街をとぼとぼと、海に面したカッテドラーレまで歩いていった……はずなのだが、10月とは思えない暑さに頭がぼーっとしたためか、道を間違えてしまった。
「まあ、いいか。どうせヒマだし。それにしても、こんな雲一つないカンカン照りなのに、ホントにポテンツァは大雨なのかなあ」
 おかげで、すぐ向こうに見えるカッテドラーレまで、ぐるりと湾を大回りしなくてはならなかった。

 トラーニの湾にはボートがぎっしりと停泊して、あちこちにドイツ人観光客のグループがいる。1週間前に訪れたナポリ沖のプローチダ島のような雰囲気であった。

 カッテドラーレは、なかなかの規模で立派。塔の下が通り抜けになっているのがおもしろい。装飾もほどほどで好感の持てる教会である。
 で、教会の近くにはフェデリコ2世の城砦。幾何学的なカッチリした外観が印象的である。中はすっかり近代的に改装されており、エレベーターまで設置してある。
 それはいいのだが、外に出て眺めを楽しもうと思ったのに、外に出るドアはすべて鍵がかかっていた。あらゆる可能性を探って、ほかに客が一人もない城砦を隅から隅まで巡ったのだが、無駄であった。
 外に出られない城砦なんて、遅れのないイタリアの列車のようなものである。

トラーニのカッテドラーレ

 さて、トラーニの旧市街から駅までは1キロ以上ある。だらだらと歩いていたら、1時間おきに出る列車に乗り遅れてしまった。
 しまった、こんなしょぼい駅で1時間待つのかと落胆して駅前を見ると。バーリ行きと書かれたバスが停まっているではないか。
「おお、天の助けか地の救い。これはもうバーリに帰りなさいという神様と仏様の思し召しに違いない」
 カンカン照りの中を歩き疲れた私は、都合よく解釈して、冷房完備のバスに乗車したのである。

 バスは海沿いの道を快走し、ビシェッリェ、モルフェッタ、ジョヴィナッツォの中心部を通り抜けていった。
「うん、この3つの町も歩きたかったけど、バスの中から見られたからいいや。町はずれを通る列車じゃなくて、バスに乗ったからこそ、町の中心部が見られたんだな、やっぱり」
 きょうもまた負け惜しみで終わる小旅行であった。

« グラヴィーナに行ってはみたけれど | トップページ | 信州の山の中と見紛うラークイラ »

イタリアの旅 北から南まで」カテゴリの記事

コメント

了解しました。じゃ、制作はPOOh!師範ということで \(^o^)/
名刺大のものをあえて選び、普段は定期入れにしまっておき、いざというときに取り出して、「控えおろう、我は三兄弟を制覇したる者ぞ」というのもいいですね。

>でも、基準はどうしましょうかね。

 基準、考えてみました。

1 全部制覇したと思ったその人の基準による。
2 その人の旅行内容によって表彰状の大きさを変える。

 したがって、例えば、バスの停車時間に30秒しか滞在していなかった場合でも、本人が心から納得していればOK。しかし、本人において、後で「負け惜しみ」を言うなど、迷いのある態度がみられる場合は却下です。
 また、バスによる通過でも本人さえ納得していればOKとして、もらえる表彰状は名刺大。一方、3兄弟に1週間ずつ滞在とかいう壮大にして意味なき旅行を敢行された方には、大全紙の表彰状(写真入りで師範に制作していただく)という基準ではどうでしょうか。

あ、やっぱりバスで通過じゃだめ?
(おまけに、ジョヴィナッツォ通過時には寝ていたしなあ……)
となると、POOh!師範が有利か。
すでにモルフェッタで、海に面してたたずむ親父風自動車軍団の写真があるくらいだし。

でも、基準はどうしましょうかね。
滞在2時間以上とか、必ずバールに入ることとか。

ところで、夜バーリに着く飛行機に乗ったら、眼下にこの兄弟都市がきれいに並んで見えました。

モルフェッタ、ビシェリエ、ジョヴィナッツォの三兄弟制覇、私が一番先に制覇宣言。う〜ほんとか?ほんとにできるのか?
とりあえずモルフェッタはOK。連続して制覇しないとだめ?

ネスケでアクセスしてますが、やっぱり何かおかしいです。書き込み。

今度こそ行ってみようと思っていながら、いつも行きそびれてしまう、ビシェッリェ、モルフェッタ、ジョヴィナッツォの3兄弟。
「行きそびれ3兄弟」と命名し、3兄弟の旧市街を全部廻った方を表彰することにしましょう(ただし、バスによる通過は表彰の対象外とする)。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« グラヴィーナに行ってはみたけれど | トップページ | 信州の山の中と見紛うラークイラ »

著書

  • 辞書には載っていない⁉ 日本語[ペンネーム](青春出版社)
  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
無料ブログはココログ

.