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2006-10-29

マルタのスープはウマかったが

 たとえマルタの歴史を知らなくても、町の中を歩いているマルタ人を見ていれば、さまざまな民族が入り交じっていることが実感できるだろう。
 いかにもアラブ人という顔をした兄さんもいれば、ナポリあたりで夕涼みしてもまったく違和感のないおじさんもいる。かと思うと、ゲルマン系と思われるお姉さんもいる。さらには、アフリカ系、アジア系の人たちも見かけた。
 そうした人たちがアラビアンリズムのマルタ語で仲良く語り合っている情景を見ると、どこかほのぼのとした雰囲気になってくる。

マルタの親父軍団

 実質2日間しか滞在していないので偉そうなことはいえないが、マルタのよさというのは、観光化されていながら、そういうおっとりとした雰囲気を残しているところにあるのではないかと思う。
 まあ、旅に刺激を求めようとする向きには、ちょっと物足りないかもしれないが。
 これはどこかで経験した雰囲気だなと思って懸命に考えたところ、かつて訪れた南太平洋のニューカレドニア島に似ていることに気づいた。

 ところで、初日の夕方の散歩は、ヴァッレッタの北東、バスで10分ほどの距離にあるスリーマ(Sliema)という町に行くことにした。ここがマルタでは「おしゃれな町」なのだそうだ。それなら、ウマい店もあるかもしれないと思ったわけだ。

 私の乗ったバスは、夕方の帰宅ラッシュにあって、20分かかってようやくスリーマに到着。深く切れ込んだ入り江の向こう側には、ヴァッレッタの町並みが手にとるように見え、眺めはなかなかである。
 入り江沿いには遊歩道があり、その背後には近代的なビルやホテルが並んでいる。ただ、人がいう「おしゃれ」というほどでもない。
 もっとも、おしゃれ過ぎてはこちらが気後れしてしまうので、ほどほどのおしゃれさと田舎っぽさがミックスしているのは、ちょうどよかったかもしれない。

 入り江に沿って走る道路に面して、テラス席のあるレストランが何軒か並んでいる。そのなかから、私の長年のカンを働かせて、ウマそうな店を選んで入った。
 マルタでは、イタリアと違って、前菜、パスタ、メインの別を気にせずに、好き勝手に食べていいという情報は仕入れていた。
 そこで私が注文したのは、海の幸の入ったマルタ名物のスープ、海の幸のスパゲッティ、なんだか忘れたがサラダの一種である。イタリアでは美食三昧だったので、この日くらいは控えめにしておこうというもくろみである。

スリーマから見た夕暮れのヴァッレッタ(と月)

 スープは素朴な味でなかなかよろしかった。これは期待が持てると、我が勘に自己満足をしつつ、スパゲッティを待つ。
 スパゲティは塩味のシンプルなもの。うきうきしながら、口に運んだ。
 ところがである。やけに柔らかいのだ。
「アルデンテじゃなくてもいい。ここはイタリアじゃないから。でも、これじゃうどんだよな。しかも、駅の立ち食いの……」
 それだけならまだいい。量がばかに多いのだ。馬が食べるほどの大盛である。
 いや、それだけではない。海の幸は入っているのだが、さっぱりその味がしない。
「これは不思議だ。どうやったら、こんな味がなく作れるのか……」
 その秘密は、翌日の晩に思い当たることになるのだが、この時点ではまだわからない。
 そして極めつけは、超大盛の麺の底のほう。まるで冷し中華の麺とたれの関係のように、スパゲッティがオリーブオイルにどっぷりとひたっているのである。

「こりゃ参った」
 私のことを少しでも知っている人ならば、私がそのスパゲッティを3分の1ほど残してしまったといえば驚くことだろう。

「いや、1回の夕食でマルタのレストラン事情を判断してはいけない。明日こそは、ウマそうな店を選んで晩飯を食べよう」
 そう決心してヴァッレッタ行きのバスに乗り込んだ私であった。

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