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2006-10-10

カラブリアのチヴィタ再訪、マッシモ再会

 カストロヴィッラリには1泊のみ。翌日の午後14時20分のバスで、ティレニア海沿岸(イタリア西海岸)の保養地マラテーア(Maratea)に行くという旅程である。
 出発までの午前中、どうしようかと考えたが、結局タクシーを利用して、チヴィタ(Civita)を訪問することにした。

 チヴィタには2年前に妻と訪れていて勝手はわかっており、町自体もこぢんまりしているのでツアコンにはうってつけである。
 2年前のブログ記事に書いたとおり、南イタリアにはオスマントルコの支配から逃れてきたアルバニア人の末裔が数百万人も住んでおり、各地で町や村をつくっている。そして、いまも広くアルバニア語が話され、独自の文化が守られているのだ。
 チヴィタは、そんなアルバニア文化の中心地の一つであり、年に一度の祭りの日には、各地から町や村の代表がやってくるという。
 ……なーんていうウンチクは、前回入りそびれたアルバニア文化博物館で仕入れたのであった。博物館といっても、民家の一部を改造したような小さなもので、地元のおじさんが2人でやっていた。

チヴィタの町

 チヴィタに来てびっくりしたのは、2年前にくらべて微妙に観光地化が進んだこと。標識や散歩道が整備され、B&Bもできていた。高い山と深い谷に囲まれた立地も、観光におおいにプラスになっているのだろう。
 そして、ドイツ人の団体が観光バスに乗ってやってきたのにも驚かされた。
 前回は、人びとの我々を見る目が好奇心に満ちていたが、今回はずいぶん観光客慣れして穏やかに感じられたのもそんなところから来ているのかもしれない。
 まあ、アルバニア文化で町おこしといった感じである。

 変わらないのは、昼間になるとおやじがバールに集まってくること。前回入ったバールでは、ドイツ帰りの元気なおばさんが健在。再訪を歓迎してくれた。

 昼前に迎えのタクシーに乗り、ロカンダ・ディ・アリーアに戻って、お大尽ランチ。さんざん記念写真を撮ったのちに、再びタクシーでバスターミナルに向かった。

「ターミナルのバールに行っても、マッシモはいないのよねえ」と妻が言う。
 マッシモというのは、2年前の旅で世話になった若きバールの主人である。超ハンサムで背筋がピンとして、明るくて優しくて元気で思いやりがある、信じられないほどいい青年である。年は30代前半あたりか。

 去年私がプレゼントを持ってこのバールを訪れると、そこにいたのは弟だった。マッシモは隣町で店をやっているという。
 この弟は、顔はなんとなく似ているのだが、どうも覇気がなく、だらけている。そのためか、店の中も、客層もどこかよどんだように感じられた。

 前日、バスターミナルに着いたときに、気になってちらりと見たのだが、カウンターの中には女性が一人いるだけだった。
 それでも、一縷の望みを抱いて、またバールの中を覗き込んでみた。
 すると、……いた!
「マッシモ!」
 すると彼はびっくりしたような顔をして、「おお、アミーコ?」と言う。

マッシモの一部と彼の自作SL、そしてピオ10世

「マッシモがいたぞ」と妻に伝えると、彼女はあわてて走ってきた。
 どうやら、2年前に私たちが送った写真も届いていたし、去年、彼の弟に託した蒸気機関車の写真集も受け取ったとのこと。これなら、忘れられるわけないね。
 前回は製作中だった手作りの蒸気機関車の模型は、2年半かけてとうとう完成したそうで、バールの棚に飾られていた。

 きのう見かけた女性がきょうもいたのだが、なんと彼女が結婚したばかりの奥さんだという。けっして美人ではないが、しっかり者みたいで気立てもよさそうなので、マッシモにはぴったりだろう。
「もう一度住所を書いてくれ。オレは学がないから手紙の書き方もわからないけど、妻が書いてくれるから」と笑う。

 彼はスプマンテ(スパークリングワイン)を空けてくれた。そして、全員で再会と彼らの結婚を祝って乾杯したのである。
 マッシモの新婚旅行は地中海クルーズだったという。ナポリ、チュニジア、ギリシャあたりをまわったとのことで、どうやら、義母が昨年利用したのと同じ会社のようである。
「マッシモったら、贅沢じゃん」と妻が言うが、よく考えると、イタリア人にとっての地中海クルーズというのは、東京の人間が瀬戸内海の島めぐりをするのと、そう変わらないかもしれない。

 バスの発車が迫っていた。
「じゃあ、これを持って行ってくれ。カラーブリアのワインだ。コセンツァの近くでつくられたワインだよ」
「ありがとう、マッシモ!(でも、まだ旅が続くから、ちょっと重いんだけど……せっかくだからもらうね。ホテルで飲んでもいいしね)」
 最後にマッシモは私に抱擁とほおずり。
「男と男はこれでいい」
 そう言って、あとの女性3人とは握手だけ。イタリア人とは思えないほど硬いところがまた気に入ってしまった。
「奥さんが見ているから?」と聞いたら、「そんなわけじゃない」と答える彼。

 こうして、田舎町のバスターミナルにあるバールにおいて、興奮の15分が過ぎていったのである。義母もS嬢も、このハプニングに大喜びであった。

 さて、マッシモにもらったコセンツァのロゼワインの運命なのだが……ああ、その3日後、ナポリ空港の入口で、地面に落ちて割れてしまうのである。マッシモ、ごめん。

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