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2006-10-09

カストロヴィッラリお大尽旅行

 マテーラで2泊したのち、次の目的地は、カラーブリア州北部の盆地、ポッリーノ国立公園の観光拠点であるカストロヴィッラリ(Castrovillari)である。
 ここは鉄道が通ってないため、マテーラからアドリア海沿岸のメタポント(Metaponto)まではタクシー、そこから海沿いにトレビサッチェ(Trebisacce)までが鉄道、そしてカストロヴィッラリまでがバスという苦肉の旅程となった。

トレビサッチェの旧市街を仰ぎ見る

 マテーラからメタポントへはバス路線もあるのだが、時間の調整がうまくいかず、タクシー料金120ユーロという大枚をはたくことになった。まあ、4人だからできる芸当である。

 カストロヴィッラリへは、シーバリ(Sibari)からのバス便も、昼間のいい時間帯に一便あるが、車窓のよさを優先。3時間近い待ち時間を昼飯にあてることで、トレビサッチェ乗り換えに決めた。
 このあたりもツアコンの腕の見せ所である。

 鉄道駅に隣接するトレビサッチェのバス乗り場は、昼過ぎになると学生でごったがえす。乗り場に行き先や番号があるわけでもなく、運転手や学生に尋ねながら、なんとか目的のバスを探し当てるしかない。

 やっとたどり着いたバスは中学生で満員。我々が乗り込むと、好奇心を隠さずに大声を上げていたのは例によってである。
 まあ、「カストロヴィッラリに行くの? あそこはいいところだよ」なんて生意気なことを言うやつもいて、一人一人はかわいいんだけどね。

レストランの壁の絵が楽しい

 大騒ぎも最初の20分ほど。チヴィタ(Civita)に向かう峠の手前、一軒の豪農らしき邸宅の前で、おとなしそうな少年が降りると車内は我々だけになった。
 40代とおぼしき運転手がラジオの音楽を消すと、車内に静寂がやってきた。どうやら運転手は、生徒たちの騒々しさを、音楽でまぎらわしていたようだ。

 さて、カストロヴィラリではかなりのお大尽旅行をした。そもそも訪問の目的は、ロカンダ・ディ・アリーア(La Locanda di Alia)での宿泊と食事なのである。町外れにあるコテージ風のホテルで食事も抜群。親族経営によるサービスも行き届いていて、立派な設備とは対照的に、気取ったところがなく、家族的な雰囲気がいい。
 妻と私はここに2年前にやってきて、すっかり気に入ってしまった。去年は、私一人で、2日連続で食べにくるという無茶なこともした(もっとも、去年の宿はバスターミナル近くにとっていたが)
 ワインを飲んで食事をして、食後酒まで飲むと日本円で1万円ほど。でも、同じレベルの食事を日本でやったら目の玉だけでなく、脳味噌が飛び出る値段になるはずだ。

素敵なリキュールは5品の飲み比べができる

 タクシーでホテルに乗り付けると、経営者であるアリーア三兄弟の一人のおじさんが、やあやあと出迎えてくれた。
「ちゃんと覚えていてくれたね」と妻に言う私。
「そりゃそうでしょ。去年も2日連続で、一人で食べにきたんだから」
 妻は、自分が去年来られなかったことの悔しさを、巧妙に言外に匂わせた。

 三兄弟の誰の息子だかわからないが、いつも愛想いいカメリエーレも健在だった。
 S嬢はもちろんのこと、連日の坂道・階段地獄にお疲れ気味の義母も、喜んでくれたようだ。
 ツアコンとしては鼻高々である。
 でも、1か月先のクレジットカードの請求が恐い。

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コメント

はじめまして。
お名前がわかりませんが、イタリアにお住まいなんですね。
Trebisacceの写真は偶然ですね!

さて、カストロヴィッラリのレストランは、本文にあるとおり、Locanda di Alia(ロカンダ・ディ・アリーア)です。
55, Via Ietticelli - Castrovillari(CS)
ここにホームページがあります。
 ↓
http://www.alia.it/default1.htm

イタリアのガイドブックを見れば、必ず出ていると思います。
(ミシュランの星は今もあるかどうかはわかりませんが……)
市の中心部(バスターミナル)からは2キロほど東側の、川沿いにあります。

はじめまして。TREBISACCEで検索してたまたまお邪魔したものです。一枚目のお写真をみてびっくりしました。左の白い建物は私の主人の実家です。カストロヴィラりのレストランに是非行ってみたいのですが、住所など詳しく教えていただけないでしょうか?お願いいたします。

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