カストロヴィッラリお大尽旅行
マテーラで2泊したのち、次の目的地は、カラーブリア州北部の盆地、ポッリーノ国立公園の観光拠点であるカストロヴィッラリ(Castrovillari)である。
ここは鉄道が通ってないため、マテーラからアドリア海沿岸のメタポント(Metaponto)まではタクシー、そこから海沿いにトレビサッチェ(Trebisacce)までが鉄道、そしてカストロヴィッラリまでがバスという苦肉の旅程となった。
マテーラからメタポントへはバス路線もあるのだが、時間の調整がうまくいかず、タクシー料金120ユーロという大枚をはたくことになった。まあ、4人だからできる芸当である。
カストロヴィッラリへは、シーバリ(Sibari)からのバス便も、昼間のいい時間帯に一便あるが、車窓のよさを優先。3時間近い待ち時間を昼飯にあてることで、トレビサッチェ乗り換えに決めた。
このあたりもツアコンの腕の見せ所である。
鉄道駅に隣接するトレビサッチェのバス乗り場は、昼過ぎになると学生でごったがえす。乗り場に行き先や番号があるわけでもなく、運転手や学生に尋ねながら、なんとか目的のバスを探し当てるしかない。
やっとたどり着いたバスは中学生で満員。我々が乗り込むと、好奇心を隠さずに大声を上げていたのは例によってである。
まあ、「カストロヴィッラリに行くの? あそこはいいところだよ」なんて生意気なことを言うやつもいて、一人一人はかわいいんだけどね。

大騒ぎも最初の20分ほど。チヴィタ(Civita)に向かう峠の手前、一軒の豪農らしき邸宅の前で、おとなしそうな少年が降りると車内は我々だけになった。
40代とおぼしき運転手がラジオの音楽を消すと、車内に静寂がやってきた。どうやら運転手は、生徒たちの騒々しさを、音楽でまぎらわしていたようだ。
さて、カストロヴィラリではかなりのお大尽旅行をした。そもそも訪問の目的は、ロカンダ・ディ・アリーア(La Locanda di Alia)での宿泊と食事なのである。町外れにあるコテージ風のホテルで食事も抜群。親族経営によるサービスも行き届いていて、立派な設備とは対照的に、気取ったところがなく、家族的な雰囲気がいい。
妻と私はここに2年前にやってきて、すっかり気に入ってしまった。去年は、私一人で、2日連続で食べにくるという無茶なこともした(もっとも、去年の宿はバスターミナル近くにとっていたが)
ワインを飲んで食事をして、食後酒まで飲むと日本円で1万円ほど。でも、同じレベルの食事を日本でやったら目の玉だけでなく、脳味噌が飛び出る値段になるはずだ。

タクシーでホテルに乗り付けると、経営者であるアリーア三兄弟の一人のおじさんが、やあやあと出迎えてくれた。
「ちゃんと覚えていてくれたね」と妻に言う私。
「そりゃそうでしょ。去年も2日連続で、一人で食べにきたんだから」
妻は、自分が去年来られなかったことの悔しさを、巧妙に言外に匂わせた。
三兄弟の誰の息子だかわからないが、いつも愛想いいカメリエーレも健在だった。
S嬢はもちろんのこと、連日の坂道・階段地獄にお疲れ気味の義母も、喜んでくれたようだ。
ツアコンとしては鼻高々である。
でも、1か月先のクレジットカードの請求が恐い。
« マテーラで警察に行く | トップページ | カラブリアのチヴィタ再訪、マッシモ再会 »
「イタリアの旅 北から南まで」カテゴリの記事
- フェッラーラ エステ家の城とイタリア版うなぎパイ(2023.11.25)
- フェッラーラへの半日トリップ(2023.11.23)
- 広々とした広場が見事なフォルリ(2023.11.19)
- 南チロルからエミリア-ロマーニャへ移動(2023.11.15)
はじめまして。
お名前がわかりませんが、イタリアにお住まいなんですね。
Trebisacceの写真は偶然ですね!
さて、カストロヴィッラリのレストランは、本文にあるとおり、Locanda di Alia(ロカンダ・ディ・アリーア)です。
55, Via Ietticelli - Castrovillari(CS)
ここにホームページがあります。
↓
http://www.alia.it/default1.htm
イタリアのガイドブックを見れば、必ず出ていると思います。
(ミシュランの星は今もあるかどうかはわかりませんが……)
市の中心部(バスターミナル)からは2キロほど東側の、川沿いにあります。
投稿: 駄菓子 | 2010-05-27 00:20
はじめまして。TREBISACCEで検索してたまたまお邪魔したものです。一枚目のお写真をみてびっくりしました。左の白い建物は私の主人の実家です。カストロヴィラりのレストランに是非行ってみたいのですが、住所など詳しく教えていただけないでしょうか?お願いいたします。
投稿: | 2010-05-24 08:52