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2006-10-03

イトゥリアの谷、神風観光

 今回は、南イタリア初体験の義母とS嬢がいたので、どうしてもアルベロベッロ、マテーラという世界遺産観光は必須であった。
 とはいえ、両方の町ともそれぞれ2泊するため、中間の1日はたっぷり使える。そこで、その日を利用して、まだ私が行ったことのない町を訪ねてしまおうという日程を組んだのである。

ローコロトンドの旧市街

 アルベロベッロのついでといえば、マルティーナ・フランカ(Martina Franca)やオストゥーニ(Ostuni)というのが相場だが、どちらも行ったことがあるので、今回はローコロトンド(Locorotondo)、チェリエ・メッサーピコ(Ceghie Messapico)というシブい町を選択した。

 午前中のアルベロベッロ散歩で、義母が声をかけた宮古島出身の元気な女性も加わって、都合4人の女性との道中である。
 まあ、女3人でかしましいというが、元気な女性が4人も集まったのだから、もう大変である。ただでさえ強烈な義母の名古屋パワーもフル回転である。
 もっとも、宮古島の彼女はカラーブリア州のトロペーアでイタリア語を学習していたとのことで、イタリア語はよくできる。気もいい人なので、義母の話し相手担当大臣に任命しておいた。

 さて、ローコロトンドはアルベロベッロの隣町。私鉄Sud-Est線の隣駅で、8分ほどで着くのだが、なんと列車が定刻を30分も遅れてやってきた。
 機関車が数両の客車をひき、最後尾にディーゼルカーが1両連結されているという不思議な編成だったところを見ると、どこかで故障があったのかもしれない。

 ローコロトンドは、TCI(ツーリングクラブ・イタリアーノ)が選定する「イタリアの美しい城砦都市」の1つに選ばれているだけあって、小さな旧市街に広がる白い家々は魅力的である。
 そして、「丸い場所」という名前のとおり、城壁が周囲を丸く囲んでいるのが珍しい。
 だが、列車の遅れのため、時刻はすでに12時をまわり、このまま町めぐりを続けていると、やがて店が閉まるのは必定。昼飯難民になるのを恐れて食事を優先することにした。
 これが、その後の恐ろしい強行スケジュールにつながるとは、テラスでのんきにパニーニを食べている誰も気がつかなかった。

 結局、ローコロトンド滞在時間の大半を食事に費やした我々は、駅までの帰り道を早足、最後は駆け足で下らなくてはならなくなった。
 次の目的地、チェリエ・メッサーピコもきれいな町だったが、昼下がりとあって、例によって静まり返っている。
 そこで、オストゥーニ行きのバスが出ていることを知った私たちは、無謀にもオストゥーニ訪問を企てる。そして、バスで20分。「白い町」オストゥーニに向かった。
 バスターミナルから旧市街までは遠いのだが、バスターミナルにはタクシーの姿はなく、旧市街のへりまで、30分かけてようやくたどり着いた。

アルベロベッロで泊まったトゥルッリのレジデンス

 さすがに音を上げた義母。広場のテラスで、さあどうやって帰ろうかと私が悩んでいると、
「もう疲れたわ。金は私が出すで、アルベロベッロまでタクシーを呼んでちょ」と生粋の名古屋弁で提案する。
 私はそれを無視するわけにもいかず……というより、渡りに船とばかりに、バールでタクシーを呼んでもらうことにした。

 やってきたのは大きなワゴン車。帰り道にはチステルニーノ(Cisternino)までまわってくれた。
 再びアルベロベッロに戻ってきたときには、とっぷりと日は暮れていた。

 それにしても、アルベロベッロ、ローコロトンド、チェリエ・メッサーピコ、オストゥーニ、チステルニーノと、イトゥリアの谷を中心に、1日に5つもの町をまわってしまったことになる。恐るべし神風観光隊である。
 おっと、オストゥーニは結局、旧市街の中には入らなかったけどね、疲れ果てて。

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コメント

アトムズさん、ローコロトンドは実にいい町でした。旧市街から鉄道駅をはさんで反対側の丘には、いかにも「趣味のトゥルッリ」というリッチな建物が建っていました。

 ロコロトンド(ロにアクセントがあるんですね)は、あの辺りに白い街の中では一番気に入った街です。一番白が強調されていたし、見晴らしも良いし、街自体が小さくて廻りやすかったです。チステルニーノに滞在中、まっちなさん達が休んでいる間にひとりでやって来たのですが、駐車のシステムがイマイチ理解出来ておらず、その前日のアルベロベッロに続いて駐禁を貼られてしまいました。罰金額自体は日本で正規の駐車場程度なのですが、支払い方法が、日本と違って、同じ地区でしか払えないというので、またまた、まっちなさんにご迷惑をかけてしまった思い出があります。

こもさん、それを矯正するにはダンナをその地に放っておいて、自分だけ帰ってくるのがいいと思います (^^;;
南イタリアでは英語を解する人は少ないし、こちらのグループにはイタリア語を解する人はほかにいないので、やむを得ないんです。トホホ。
妻は、動物的カンで、たまに私よりも相手の話の内容を理解していたりしますが。

修正です。「タクシー呼んで」って言われるのがアタシです。寝る前で頭が朦朧としている、、、ボナノッテ〜

こんばんは、駄菓子兄。

ツアコン駄菓子さん、エラ〜イ!!
私も老後南伊に行く時は駄菓子さんに案内してもらいよ。

ダンナと海外行くと「タクシー呼んで。」って言うのはいっつもアタシなんだモン(;_;)

ホテルの部屋の写真、奇麗、、、アルベロベッロのホテルですか?

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著書

  • 辞書には載っていない⁉ 日本語[ペンネーム](青春出版社)
  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
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