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2006-10-31

マルタで見たイギリスの名残

 マルタ滞在2日目の午前中は、ゆっくり起きて、ヴァッレッタの旧市街を散歩。一国の首都の中心部ではあるが、あっと言うまに一周してしまう。
 あとは、教会、美術館、博物館をめぐって、カフェテラスでパニーノにビールで昼食。いい気分になったところでホテルに戻って昼寝である。

 夕方からは、適当に土産物を見つくろった後、バスに乗ってきのうのスリーマとは反対側の町に行く。入江の反対側に見えるのだが、道路は深く切れ込んだ入江を回っているので、意外に時間ががかった。
 まあこんなわけで、ゴゾ島にも行かず、結局ヴァッレッタの周辺をうろうろするだけで、マルタ滞在は終わってしまったのである。

ヴァッレッタの坂道

 そして晩になった。前日の雪辱とばかりに、ホテルそばの地下にある穴蔵風ピッツェリーアに突入である。初日に空港から送ってくれた知日派の老人によれば、その店は安くてウマいという話だったからだ。

 ピッツェリーアではあるのだが、せっかくだから地元の魚料理を食べようと思い、海の幸の盛り合わせ、そして海の幸のスパゲッティを注文した。

 10分ほどして出てきた前菜を見て、まさか昨日のようなことはあるまいと思いつつ、海の幸を1つ2つと口に運ぶ。
 ところがである。
 やはり、味がない。かすかに海の香りがするものの、魚介類特有のコクというかアクが決定的に欠けているのだ。前日のスリーマのレストランと同じである。
「はて、いったいこれはどういうことなのか」
 このとき、知り合いの日本人女性から10年以上も前に聞いた話が、突如よみがえってきた。

「イギリスでホームステイをしたのよね、湖水地方のあたりなんだけど。で、いつだったか、そこの奥さんが夕食にサケを煮ているわけ。へえー、久しぶりの魚料理だなと思って楽しみに見ていたんだけどさ、ゆでたお湯をそのままジャバーって捨てちゃったのよ。
 そばにいたイタリア人の女の子と顔を見合せちゃったわ。どうするのかと思っていたら、残った身にクリームだかなんだかのソースをかけて出すのよ。それじゃ、サケの味なんかするわけないじゃない。あの人たちは、魚の味なんて生臭いだけだと思ってるんでしょうね」

 それだ、と私は思った。目の前にある海の幸は、じっくりとゆでこぼされてコクもアクも取り去った状態なのに違いない。
 そしてもう一つ、私は思い出した。マルタという国は、1964年に独立するまでイギリスの支配下にあったのだ。

「そうか、そうか。それじゃしかたがない」と私は納得した。
 だが同時に、こうも思わざるをえなかった。
「もし、イタリアの植民地になっていたら、もっとメシもうまかっただろうに」

入江を望む坂道

 マルタの名誉のために付け加えておくが、私が行った2つの店が、たまたまウマくなかったのかもしれない。
 実際、エアー・マルタの機内誌には、ヴァッレッタで評判のレストランが紹介され、シェフの対談まで掲載されていたのだから、しっかり探せばおいしい店も見つかったであろう。すべては、行き当たりばったりで決めた私が悪いのである。

 まあ、そうしてマルタの最後の夜は更けていくのであった。
 翌日は、朝6時45分発の飛行機でレッジョ・カラーブリアに向かうことになっている。
 ホテルのフロントに相談すると、「国際線だから2時間半前には行っていないとね。じゃあ、タクシーを4時に呼んでおこう。目覚ましは3時半にする?」と言う。

 いくらなんでも、すぐそばの国だし、飛行機だって小さいはずだ。そんな朝早くから空港も込んでいないだろうから、5時半ごろに着いていれば十分だと私は思っていた。
 だが、現地の人、それもホテルのフロントが言うのだから、しかたがない。
 ささやかな抵抗として、目覚ましは4時、タクシーには4時15分に来てもらうということにしてもらった。はたして、マルタ出国にはそんなに時間がかかるのか。

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コメント

ううむ、やはりそうでしたか。
これで裏がとれました (^^;;
イギリス人は、香り立つものはダメなんでしょうかね。
でも、イタリア人観光客はどこで食べているんだろう。
……そうか、マルタのレストラン探しは、イタリア人のあとを付いていくのが正解かも。

テレビで観たことのある、ロンドンの有名シェフの料理方法も衝撃的でした。
イタリアンでは、ニンニクは熱したオリーブオイルで香りを立たせるのが普通ですよね。しかし、そのシェフによると、そのようなことをしたのでは、料理が「おいしくなくなってしまう」のだそうです。その他の材料はオリーブオイルで炒めておき、それに水を足した後にニンニクを入れた方が「おいしくなる」そうです。
その順序を間違えてはいけないそうです。ハイ。

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