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2006-10-13

ナポリ到着

 9月30日、同行者たちにとって最後の宿泊地ナポリ(Napoli)に到着した。ここに1泊し、妻と義母とS嬢の3人はローマ経由で日本に帰っていく。
 そして、私は晴れてお役御免となり、一人旅を始めるという予定である。

 さて、このナポリ、個人的には好きな町なのだが、ツアコンとして訪れるには緊張と疲労を伴う町でもある。
 薄暗い地下駅、雑踏のなかで、ひったくりやスリの心配は絶えず、タクシーではぼったくりに注意が必要である……とされている。

 宿はメルジェッリーナ地区にとったのだが、ナポリ・メルジェッリーナ駅からは400メートルほどの距離がある。重い荷物を持ち運ぶには面倒な距離だし、せっかくならば移動中にナポリ中心部を同行者にも見せておきたい。
 そこで、あえてリスクをとり、ナポリ中央駅地下にあるポルタ・ガリバルディ駅で下車。タクシーに乗ることにした。

 薄暗い地下駅から中央駅正面のタクシー乗り場に、はたして妙齢の女性3人を連れて、無事にたどり着けるのだろうか。しつこい白タクの客引きはないのか……。なんて思っていたら、拍子抜けするほどあっさりとタクシー乗り場に到着。

ナポリ中心部とヴォメロの丘を結ぶケーブルカー

 若くて気のよさそうな運転手は、「きょうは『ノッテピアンカ(Notte Bianca)』だよ」と教えてくれる。そういえば、そんなポスターが貼ってあったっけ。
「お祭りなの?」
「そう。賑やかになるよ」
 ノッテピアンカといえば、日本語にすれば「白夜」か。どんな祭りなのか見当はつかないが、アルベロベッロといいナポリといい、よくよくお祭りに縁がある我々だった。

 運転手は宿に着くまで、「これが王宮、これがカステル・ヌオーボ」などと丁寧に説明してくれた。
 料金はもちろんメーターに基づいて、15ユーロという妥当なもの。
「荷物が多いから割増料金なんで……」と、すまなそうに言うところがかわいい。
 個人的な感想だが、イタリアのタクシー運転手は若い人ほど誠実である。オヤジ度が増すほど、かつてのイタリアのうさんくさいタクシーの残り香を感じさせてくれる。

 さて、ナポリの宿は、古い建物の一部を宿泊用に改造したB&Bを予約していた。なにしろ、ユーロ高のいま、大都会でちょっとした四つ星ホテルに泊まろうとすると、すぐに日本円で一人2万円以上になってしまうからだ。
 リラが通貨だった時代には、窓からエトナ山とナポリ湾が見渡せるホテルに泊まったことがあるのだが、とてもではないが、いまはそんな贅沢はできない。

 宿は古い建物の4階。見るからに後づけの、小さくて古典的なエレベーター……というよりも「上下する鉄製の籠」で昇っていく。
 私たちを出迎えてくれたのは、横綱朝青龍に似た顔をしたフロントのお兄さんであった。キルギスタン出身で、3年前にナポリにやってきて故郷にいる3人の子どもに仕送りをしているという。
 この人物については、この翌々日に不思議な縁で再会をすることになるので、詳しくはまた改めて記すとことにしよう。

 さて、部屋に入って一休み……といかないのがツアコンのつらいところ。すぐに市内に繰り出して、下町の中心部あたりでピッツァを食べ、スパッカナポリ近くでオレンジ入りのチョコレートを買い、市内を展望できる場所に行く。そして少し腹が減っていたら、レストランで魚のスープを頼むという、妻が考えたすさまじい計画が待ち構えているのである。
 すでに時計は16時をまわっていた。はたして、そんな無茶な計画が通用するのか。なにしろ、ここはナポリである。

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イタリアの旅 北から南まで」カテゴリの記事

コメント

なんと、フィレンツェでもそんなに暑いんですか。
マテーラもアルベロベッロも、旅行に役立つ情報が全然なくてすいません (^^;;
南の人同士の会話はほとんど理解できませんが、さすがに外国人相手になると、みんなわかりやすく話してくれました。

>はっきり聞き取れたのが
>Parolaccia・・・。

カッ○○とかファン○ー○というたぐいでしょうか (^^;;

それがですね、
日中でも25度くらいあって、
なかなか寒くならないのです。
でも朝晩はかなり冷えるから
すっかり風邪っぴきです。
去年の今頃はそろそろマフラーを
巻き始めていたのですが。
マテーラもアルベロベッロも
行きたかった町なので
とても興味深く読ませて頂きました。
それにしても南の方言はさっぱりわからなくって
はっきり聞き取れたのが
Parolaccia・・・。
これは全国共通なのですね~~。

leoさん、こんにちは!
いやあ、ツアコンはもうこりごり (^^;;
今回もフィレンツェまでたどり着けなくてすみません。
南は日射しが強くて、真っ黒に日焼けして帰ってきました。
そちらは、もうだいぶ涼しくなってきたのでしょうか。

お久しぶりです~。
お帰りなさいかしら?
それにしても南イタリアのツアコンが
できちゃうなんて、
すごいですね。
今度私も一緒にお願いします☆

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