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2006年8月の4件の記事

2006-08-31

『がんばれ! 路面電車』の不思議な縁

 あえて自分の本(宮田さんとの共著)をここで紹介するのは訳がある。
 単に図々しいからだと言われれば、返すことばはないのだが、もう一つ、8月30日に経験した摩訶不思議な縁がきっかけなのである。

 午後3時半、池袋の南側にある会社で、仕事の顔合わせをした。明治通りに面したビルで、初めて行く会社だったのだが、散歩道としてたまに通っていた場所である。
 顔合わせが終わり、「さてどこに行くか」と20秒ほど考えた末、近くにある古本屋に向かった。
 ここもまた、半年に1回くらいは訪れる店で、なかなか品揃えが充実しているので気にいっている。

 店に入ったとたん、ビックリ。
 いきなり私の目に飛び込んできたのが、この『がんばれ! 路面電車』だったのである。

『がんばれ! 路面電車』

「あっ」という声が、喉の奥あたりまで出かかった。
 どうやら、小さな「都電特集コーナー」となっているらしく、都電に関連した資料や模型などが、かわいらしく並んでいた。見るからに、店主は都電ファンに違いない。
 そして、そのなかでも、この本が中心に据えてあるのだ。しかも立て掛けて。
 それだけではない。見本の1冊のほかに、2冊が並んでいた(どうやら、もっと在庫があるらしい)。
 
 かつて、「ベストセラーもいいけど、古本屋で人気のある本を書きたいよね」などと、カッコいいことを言っていた私である。まさに理想的な姿ではないか。
 ちなみに、ここ数年の私の心境は、「なんでもいいから売れる本を出したい」に変わっているが。
 名刺でも出して、「これボクの本なんです」と言ったらどうかとも思ったが、それは野暮というものである。にやにやしながら都電コーナーを眺めていた客を、店の人はどう思ったか。

 まあ、そこまでだったら、十分ありうる話だ。ところがである。
 夜、家に帰ってパソコンを開き、きょうの拙ホームページのアクセス解析の結果を見た。すると、見慣れないURLからのリンクをたどって来た訪問者がいる。
 ほほう、どんなページなのかなと思い、開けてビックリ玉手箱。
 数時間前に訪れた古本屋のブログではないか。しかも、きょう(8月30日)のブログの記事として、この本のことが表紙の画像とともにデカデカと取り上げられている。
 あの都電コーナーは始まったばかりなのだ。それにしても、まさにきょうである。偶然というものはあるものなんだなあ。
 しかも、楽しく紹介してくれて感激。
 トラックバックも送ってしまおうかなっと。ビックリするかな。
 そうそう、価格は600円だとか。

(発行:山海堂、著者:二村高史、宮田幸治、定価:1500円+税、初版発行:2000年7月、ISBN4-381-10379-3)

2006-08-27

酔っぱらいで「抑止」

 週末の夜、山手線で家に帰ろうとしたら、御徒町でストップ。
 わが家のある駒込駅付近で、線路内に人が立ち入ったとのこと。私のするどい勘によれば、酔っぱらいに違いない。

 田端までの乗客が京浜東北線に乗り換えるなか、ホームに出てぼんやりと復旧を待った。
 そこで目に入ったのが、ホーム端に光る「抑止」の表示。ここ何十年も「運転席かぶりつき」なんてやっていなかったから、こんな表示が出るとは知らなかった。

「抑止」表示

 赤信号にすればいいじゃないか……と思ったところで、はたと気がついた。
 山手線は全線、車上ATC化されて、信号がなくなったんだっけ。いや、厳密にいえば信号はあるけれど、運転台に制限速度が表示される方式になって、線路脇の色付きの信号がなくなったのであった。
 でも、「抑止」とはね。決まった用語だからしょうがないけど、固いことばだよね。

 ちなみに、ここに写っている方は知らない人。最初に誤ってストロボをたいてしまったけど、それでも動ぜずに、2枚目に写したこの写真でも堂々と収まってしまった。
 念のため、顔をぼかしておきました。

2006-08-19

『昭和二十年東京地図』

 A5サイズで300ページあまり、グラビア印刷(たぶん)のずっしりと重みのある本である。
 のちに、ちくま文庫の1冊として発売されたが、写真の迫力を感じるためにも、やはりオリジナル版のほうがいい。

『昭和二十年東京地図』

 タイトルを見ただけでは、戦後すぐの写真を集めた本のように思えるが、そうではない。写真自体は、この本が刊行された時点での東京の写真である。だが、どれも1980年代後半のものとは思えない。戦後の陰をひきずった写真なのだ。

 そうした写真を背景にして、東京の歴史を彩る事件、事故、資料、エピソードが詳しく語られていく。春日局、徳川慶喜、日露戦争、永井荷風といった話題もあるが、やはり興味深いのは戦後の話題である。

 進駐軍、貧民窟、闇市の抗争、バタヤ、私娼街、小平事件、吉展ちゃん事件……といった活字が次々に登場。1950年代なかばに生まれた私としては、記憶をつかさどる神経細胞の端にぴくりと触れられたような気がする。
 それと同時に、よくも悪くも生々しいエネルギーに満ちた、かつての東京の姿がを目の前によみがえってきて、くらくらとめまいのようなものを感じるのであった。
 この本を読んだら、ビルごと消毒されてしまったかのようないまの東京の町が、薄っぺらく思えてくること請け合いである。

 この本を読んだ当時、私も東京の町の写真を撮りはじめていたが、とてもじゃないけどかなわないと思った。だって、こんなに勉強している人がいるんじゃね……。まあ、それでもくじけずに撮り続けたけど。

 この本はおもに東京の旧市内を対象にしているが、周辺部(武蔵野、世田谷、千住、亀戸など)を対象にした続編も出版された。

(発行:筑摩書房、文:西井一夫、写真:平嶋彰彦、定価:2500円+税、初版発行:1986年8月15日、ISBN4-480-85330-8)

2006-08-02

鎌倉でマンゴージュース

 梅雨は明けたけど、どこか涼やかな関東地方。
 7月31日(月曜日)は、予定していた仕事が延期になったこともあり、発作的に湘南新宿ラインなる電車に乗り込み、いざ鎌倉に向かった。
 忙しかった先々週までの苦しみを忘れるために、のんびりと江ノ電に乗ろうと思い立ったのである。

長谷のあたり

 鎌倉到着はちょうど昼飯時。駅の近くで天丼を食べて出陣である。
 鎌倉駅で江ノ電の1日乗車券を買ったが、そこですぐに乗り込まず、1駅先の和田塚に向かう。
 静かな和田塚駅の雰囲気が好きなのも一つの理由だが、途中にある古本屋も目当ての一つ。
 20分ほど書棚を見たが、今回は、買わずに店を出た。

極楽寺駅

 和田塚から江ノ電に乗り、長谷駅で下車。大仏に向かう人の流れに逆らうように、海側に向かうひねくれ者の私。
 ここから極楽寺まで、切り通しの道が、ミニミニ峠越えという感じで、ちょっと楽しいのである。
 極楽寺駅の手前では、2年に1回ほど立ち寄る小さな喫茶店にて、骨董品を眺めながらマンゴージュースを注文した。鎌倉でマンゴージュースとは、ミスマッチの妙である。

鎌倉高校前駅

 その後も、ぶらぶらと江ノ電に乗ったり降りたり。終点の藤沢に到着したのは午後4時半ごろであった。

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