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2006-03-08

イタリア鉄道の新車

 昔のイタリア国鉄の「サービス」を知っている人にとって、ここ数年の変化は驚くべきものだろう。
 車内の丁寧な放送、無人駅の到着案内など、日本では当たり前のことでも、イタリアでは画期的なサービス向上である。

ミヌエットがロザルノ駅に到着

 それというのも、イタリア国鉄の組織改編が大きく関係しているようだ。

 現地からのブログでは混乱してしまったが、「鉄道ジャーナル」2月号によれば、上部組織としてのFS(Ferrovie dello Stato--国鉄)は存在しているものの、その下部はいくつもの組織に分けられているようだ。

 で、実際の運行はTrenitalia(トレーニターリア)が、そして施設や路線はRFI(Rete Ferroviaria Italiana--イタリア鉄道網)が管理している……らしい。

 まあ、そんな能書きはどうでもいいのだが、オンボロの車両が幅を利かせていたローカル線にも、新しい車両が走っていた。
 それが、この「ミヌエット」である。ミヌエット(Minuetto)とは、音楽の時間によく出てきた舞曲「メヌエット」のイタリア語読み。同じスタイルで、電車とディーゼルカーの両方があるそうだ。

おしゃれなミヌエットの車内

 RFIのサイトの説明によれば、デザインはジュージアーロ、製造はドイツのアルストム社とのこと。
 これまでのフィアット社製のオンボロディーゼルカーとは、段違いの性能と乗り心地であった。

 もちろん、ドアは低床となっていて、ホームからほぼ段差なしで乗り込める。
 これで、イタリアの鉄道のイメージも少しはよくなるかもしれない。

 そして、下の写真は、幹線を走る新しい客車の車内である。
 以前、中距離以上を走るイタリアの客車というと、6人掛けのコンパートメント(個室)方式のものがほとんどだった。
 見ず知らずの人が、同じコンパートメントに乗り合わせて、政治談義やふるさと自慢に花を咲かせているのを見て、さすがおしゃべりのイタリア人だと感心して見ていたものである。

新しい客車の車内

 私が少々イタリア語を解するとわかると、それこそ機関銃のように会話が浴びせ掛けられる。もちろん、楽しいときもあったが、疲れているときには多少の苦しみも味わったものであった。

 そんなイタリア人気質も徐々に変わってきているのか、コンパートメント方式の客車が急速に減っていることを感じる。

 それで、この写真の車両であるが、開放式になっているものの、通路を中央にもってこないで、端にしてあるのはおもしろい。コンパートメント方式の名残だろうか。
 座り心地もよく、クッションもふかふか。同じ3人掛けでも、新幹線のあれとは大違いである。
 よく考えると、新幹線の普通車は、1列に5人だものなあ……。

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コメント

>ぢぶんは風土はフードだ、と思っているんですけど(^^::

おっ、「粗食のすすめ」の幕内さんもそんなことをおっしゃっていましたっけ。
まもなく、青春出版社から、新しい本が出ます。
ちょっと編集にかかわったので、お楽しみに。

撒き餌にばっかり食いついているとなんなんで(^^::

スローフードはだいぶ日本でも浸透してきたようですが、それもキーワード
いじりな側面があるからなぁ。
ぢぶんは風土はフードだ、と思っているんですけど(^^::

でも、アメリカ人がすごいとこは、ちゃんと体系的というか理論的にまとめる
人がいることは素直に認めてしまいます。その点、日本は地産地消といって
も、ただくるみを日本語に置き換えただけって感じ。自然発生的に湧き上が
って出て来たんだと強いんですが。


うーん、当たらずといえども遠からず、遠からずといえども当たらずって感じでしょうか。
いわゆる上下分離というやつで、イギリスの鉄道もそうなったみたいですね。
日本は地域別に分割民営化しましたが、イタリアは地域別ではない……みたいですが、よく調べていません。
ほかにも、いろいろな関連会社があるみたいです。

駄菓子さん。毎度。

> で、実際の運行はTrenitalia(トレーニターリア)が、そして施設や路線はRFI(Rete Ferroviaria Italiana--イタリア鉄道網)が管理している……らしい。

これって、車輌を持たず、駅と路線だけを持つ神戸高速鉄道みたいなもんなのでしょうか(^_^;)?

「アスプロモンテ」「シーラ」という、餌に食いついてくる人はなかなかいないですよね (^^;;
もし今年の秋に行けたとしても、やっぱり山の中をナップザックしょっていかなくちゃならないなあ。

こちらでははじめまして。
もうネタバレしかけてるかもですが、とりあえず(^^;;

結局最後は山か、っちゅーことになるんですかね。
そうなると、ますます山岳都市にいかねばならんという
ことでしょうか。大変だにゃー。でも行ったら廃虚って
こともありまさね(^^;
しかし同じ山でも南の山の方が哀愁って感じがするのは
開発の手が入っても「ゆるい」からでしょうかね。

三個夏天さん、こんにちは
はじめまして……かな?
去年の旅行では、レッジョ・ディ・カラーブリアがずいぶんおしゃれな町になっていたのが印象的でした。
中央駅も大改造する予定のようです。

南イタリアらしいところを探そうとすると、いまじゃ、アスプロモンテやシーラの山奥にいかないとダメかもしれませんね。

ロハスやユニバーサルデザインというのも、結局、アメリカ人の商売がもとでしょうからね。
スローフードも、なかには「イタリアのものを食べること」なんて思っている人もいるようですし (^^;;

ミヌエット、すごいですね!
ドイツからというのがちとしゃくだけど、造りは頑丈の方がいいでさね。
でも、こいつは南にも投入されているんすか?ちょっとさみしいです。
ひとりで旅していると、コンパートメントの会話を聞いているだけでも、
現地慣れの助走になってた部分があるので。方言なんかも耳に心地
よかったりしますし。さすがに後半は、見ず知らずの人に食べ物をもら
うのはかなり警戒するようになりましたが(笑)

話を広げすぎですが、こういうちっちゃいことひとつひとつが、いわゆる
南イタリアらしさを奪う結果にならなきゃいいんですが。快適さとか、
ユニバーサルデザインとかって、どうしてもグローバル化と抱き合わせ
になっちゃうんでしょうか。

なんか、ロハスとかユニバーサルデザインとかの耳障りにいい言葉って、
結局全部アメリカから出て来てるのがどうもしっくり来ないんですよね。

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著書

  • 辞書には載っていない⁉ 日本語[ペンネーム](青春出版社)
  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
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