山岳都市を走る車
イタリアの山岳都市を巡っていて驚くのは、人がようやくすれ違うような狭い道--しかも歩いているだけで息が切れるような急坂を、車がずんずんと走っていくことである。
狭い道を通る技術といえば、日本のドライバーの技術もなかなかだと思うが、イタリアの旧市街に住む人も大変なものである。
そんな様子を写真に撮ろうとしたのだが、実際に写っているのを見ると、まだまだ道幅に余裕のあるものばかり。
そりゃそうだ。ほんとうに道幅ぎりぎりのときは、こちらもよけるのに精一杯で、写真を撮るどころではないからだ。
一番驚いたのは、今回の旅ではないが、数年前にマテーラに行ったときのこと。
夜中に旧市街を歩いていたら、狭い道を、後ろからクラクションを鳴らしながら私たちを抜いていく車がある。
「ああ、さっきのレストランにいた人たちだ。それにしても、この道の先には階段しかないはずだけど……」
同じ方向に歩いていったが、どこにも車の姿は見えない。
まさか、車が階段を上って行ったのか!
それとも、忽然と神隠しにあったのか!
で、階段をよーく見ると……左右のタイヤが乗る幅だけ、コンクリートを盛って斜面になっているではないか。
彼らはこうして、何十メートルも続く階段を、毎日器用に登っていくらしい。
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