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2005-11-21

突然シチリア行き

 18日は、定刻通り、23時10分にレッジョ・カラーブリア空港に到着。
 翌19日はぶらぶらとレッジョの市内を散歩して、あとは近くの町をまわるつもりであった。
 だが、夜中にタクシーでホテルに向かう途中で、私も妻も気が変わった。メッシーナ海峡のすぐ向こうに見えるシチリアの町の灯を見たとたん、日帰りでシチリアに行くことに決めたのである。
 妻はメッシーナに行って戻るくらいのつもりで提案したらしいが、「せっかくなら、タオルミーナにでも行ってこよう」と私が無茶なことを考えた。

メッシーナ港で釣りをする人びと

 というわけで、19日の9時半にレッジョの港から高速船で出発。35分でメッシーナに着いたのはいいが、船を降りてしばらくすると、その日の苦労を暗示するように、雨が本格的になり、一気に気温が下がってきた。
 レッジョでダウンジャケットを着込んだ人を見て、「寒がりだなあ」と笑っていたバチが当たったようである。

 さて、メッシーナでは、新しくできたトラム(路面電車)を目にして気分が高揚し、無理やり市内見物をしたのがいけなかった。
 乗るつもりだった列車に遅れてしまい、駅前から出るバスを使ったのだが、これが大失敗。メッシーナ市内での渋滞に巻き込まれて、タオルミーナに着いたのはもう午後2時半であった。

タオルミーナの虹

 実は、タオルミーナには25年前に来たことがあった。
 いや正確には、タオルミーナの「ふもと」まで列車で来たことがあった。だが、貧乏旅行で栄養が不足していたためか、頭がぼんやりしていた私は、山の上にある町に行かずに帰ってきてしまったのである。
「山の上にはきれいな町があるらしいけど、この海岸も十分にきれいだからいいか」なんて思ったのだ。
 その後、日本のガイドブックにタオルミーナの名前が取り上げられるようになる。私はその美しさを写真で見て、逃がしたチャンスの大きさに、ほぞとへそを噛むしかなかった。

 そんないきさつがあるためか、タオルミーナの町はいっそう美く見えた。でも、賑わいを見せる町を見るにつけ、「25年前に来ていたらどうだっただろうか」とも思わざるをえなかった。
 いつのまにか、私たちを待っていたかのように雨はやみ、円形劇場から見るエトナ山という、ガイドブックに必ず登場するお決まりの風景も満喫することができた。

 こうして、本来ならば、「予定が大幅にずれこんだものの、楽しい1日だった」と、この文を終えることができたはずだった。

タオルミーナの町

 ところがである。実は19日にはもう一か所、行こうとしていた場所があった。
 それは、レッジョの北、列車で約40分のところにあるバニャーラ・カラブラという町。この町にある小さなレストランが目的であった。
 夕食に間に合わせるために、タオルミーナを駆け足でまわり、急行列車に乗車。メッシーナ海峡を走って越え、冷たい雨のなか、かろうじて午後7時にバニャーラ・カラブラに着いたのである。

 小さな駅に着いたころはもう真っ暗。しかも、レストランの名前は知っているが、住所も何もわからない。
 しかたがないので、町の中心地らしき方向に向かう。その途中で、たまたま店先に出てきた50代なかばと思われるおじさんに遭遇。
「すんません。○○というレストランはご存じでしょうか」
 おじさんは、ふっと笑って答えてくれた。
「すぐそこだよ、2番目の道を右に曲がってすぐ」

 おお、さすがに食い物屋への執着の勝利か! と狂喜して、私たちは店の前に立った。
 ……しかし、店は休みだった。

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イタリアの旅 北から南まで」カテゴリの記事

コメント

POOh!さん、こもさん、こんにちは
そう、ショックでした。
ほかのレストランに入るという手もあったのですが、結局レッジョで食べようということになりました。
……が、荷物を置くためにホテルに帰ったら、二人とも疲れて寝てしまいました。
というわけで、しょっぱなから晩飯抜きではじまったイタリア旅行です。

駄菓子様御一行、ご無事の到着、何よりです。
が、お目当てのリストランテが休みだったとは、美術館が修復中より教会が開いてなかったより、100倍ショック。

駄菓子さん、チャオ〜

いきなりシチリアですか?
タオルミナでは何も召し上がらなかった?
こんな季節でも賑やかなんですね。

晩飯はどうなったのかな?
閉まってる店こじ開けて食べたとか、、(^^;)まさかね。
続き、楽しみにしてます。

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