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2005-08-12

砂辺・嘉手納をいく

 沖縄滞在の最終日、中部西海岸の砂辺(すなべ)と嘉手納に行こうと思い立った。
 仕事も一段落し、夜、最終1本前の飛行機に乗るまでの自由時間である。

砂辺のネコ

 北谷(ちゃたん)町の砂辺は、那覇から国道58号線をバスで約40分。国道の片側のみならず、両側に米軍のフェンスが見えてくると、まもなく砂辺である。

 北谷から読谷にかけては、60年前に米軍が本島に初めて上陸した地点だ。
 このあたりは、ほぼすべてが破壊されてしまったというが、かろうじて砂辺の付近だけに、昔からの「拝所」(ウガンジュ--おがみじょ)や「ガー」(共同井戸)が残っているとのこと。
 それを訪ねて、昔の雰囲気にひたれたらと思ったわけだ。

 台風の吹き返しの風雨に見舞われ、バス停から汗かきかき、民謡に歌われた砂辺の海岸を目指す。
 静かな町だが、それなりに人や車の行き来がある。やけに、アメリカ人の姿が目立つのが印象的だった。もちろん、散歩している観光客など一人もいない。
 そして、ようやく海岸にたどりつくと、そこにはダイビングのための施設が並んでいた。

砂辺の拝所

 そういえば、東京のビール屋のカウンターで、こんなことがあったっけ。
 私が、沖縄のいろいろな町を散歩するのが好きだと言ったら、15歳も年下の女性から、「海に入らないで、何のために沖縄に行くの?」と真顔で言われたのだ。
 ちょっとショックだったなあ。 

 気を取り直して、砂辺の町を一周していると、木の生い茂る小さな丘が目に入った。
 本土でいえば“鎮守の森”、いやそれ以上に神聖な場所である。
 誰かにとがめられないかと心配し、周囲をきょろきょろ見ながら坂道を上り、拝所をめぐってきた私である。

 次に訪れた嘉手納町は、砂辺のある北谷町の北側に接する町だ。
 地図で見ると、その面積の8割か9割を米軍基地が占めていることがわかる。
 そんな嘉手納に、どういう家があって、どういう生活が営まれているのか、やはりこの目で見ないわけにはいかない……でしょう?

嘉手納の商店

 で、どうだったかというと、そこにはやはり、ごく普通の商店があって、ごく普通の家が建ち並んでいたのである。
 もっとも、賑わう商店街があるわけでもなく、町は静まりかえっている。活発なのは、国道や県道を通る自動車の行き来くらいであった。
 そして、ちょっと歩くと、すぐに米軍基地のフェンスが見えてくるのは、やはり一種独特の雰囲気だ。

 基地に反対する人も、日米安保の大切さを説く人も、まずは砂辺や嘉手納を散歩することから始めてほしいなあ……なんて、我田引水の結論に達する私であった。

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沖縄ぶらぶら歩き」カテゴリの記事

コメント

てんもりさん、こんにちは
そう、突然沖縄に行くことになりまして……。
てんもりさんのブログにある店に行きたかったのですが、じっくり検討する余裕もありませんでした (^^;;
また、ちょくちょく行くことになりそうですので、次回はぜひチェックしてから出かけようと思います。

そうそう、床屋やさしみ屋は、どこも味があるたたずまいをしていますね。
そもそも「さしみ屋」というネーミング自体、沖縄ではじめて知りました。
確かに、沖縄では古い町並みや家を写そうなんて思っている道楽者は少ないようですね。まあ、だからこそやりがいがあるともいえますが。

こんにちは、沖縄のてんもりです。
沖縄に来られてたんですね。ボクは今福岡空港です。
嘉手納のロータリーは開発が進み、大きなガジュマルの木の下にあった三笠食堂も取り壊しが始まってしまいました。あのガジュマルはどうなるんだろうと心配です。
ボクも少しは落ち着いて駄菓子さんの様な大人の散歩日記でも書きたいのですが、まだ食い意地が勝ってしまいます(苦笑)
沖縄の古い町の中でボクがひそかに注目しているのが床屋さんとさしみ屋さんです。なぜかこの2ジャンルの店は、古びた店が多く、そして思わずホコっと笑ってしまうような小さく可愛い店が多い様に感じるのです。
たまにはこんな店の写真も紹介しようかな、でも写真を撮っていると不審がられるんですよね。

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著書

  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
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