染井の桜
よく知られているように、ソメイヨシノのソメイとは、豊島郡染井村に由来している。いまの豊島区駒込の一部である。
そこで、駒込の住人としては、満開の桜を愛でぬわけにはいかぬと、スギの花粉が舞うなかを決死の覚悟で花見に出かけたのであった。
駒込といえば、最近では六義園のしだれ桜が有名になったが、それだけではない。
駅前の大国神社の桜はいうに及ばず、豊島区駒込3丁目あたりを散策していると、裏通りや路地の奥の民家の庭に、見事な桜を見ることができる。
そして、江戸時代には植木屋が軒を連ねていたという染井通りに出る。
六義園の北の端で岩槻街道(本郷通り)から分かれ、染井霊園に突き当たる通りだ。
ソメイヨシノ(染井吉野)は、この地でオオシマザクラとエドヒガンを交配してつくられたという説が有力である。いまや植木屋は1軒もないのだが、それでも染井という地を意識してか、この通りには桜が多く植えられている。
もっとも、当時の植木屋にとって桜はあまり人気がなく、ツツジのほうがはるかに玄人受けしていたという話を聞いたことがある。
たしかに、ツツジのほうが手の入れがいがあるのかもしれない。
さて、団十郎と海老蔵親子がテレビCMに出演したマンション「プラウド駒込」の建築現場を横目に見て、染井通りを北上。向かうは染井霊園だ。
ここの桜は実に威風堂々としている。
しかも、場所柄、酒を飲んでカラオケで騒ぐのもいないから、心のどかに桜を観賞できるのがいい。
墓石はいやでも目に入るが、ちっとも気にならず、実に桜と調和している。
とはいえ、墓場でビニール敷いて弁当食べて、桜を愛でるというのも不思議なものである。欧米人あたりには理解できないかもね。
« 又兵衛とレトロの熱海 | トップページ | 新富町・松し満 »
「東京ぶらぶら歩き」カテゴリの記事
- 西表島 路線バスで村めぐり(7)古見(2023.01.26)
- オリンピック 五輪色の東京スカイツリー(2021.08.10)
- 地下鉄丸ノ内線後楽園駅(2021.07.16)
- 京島から押上へ十間橋通りを歩く(2021.06.21)
- 墨田区京島 キラキラ橘商店街(2021.06.16)
このあたりでは、マンション建設にともなって、よく遺跡が見つかったといっては発掘調査があるようです。
メルクルさんが仕事をしたのは、本郷高校のあたりでしたっけ。
それにしても、大量の植木鉢というのもすごいですね。
投稿: 駄菓子 | 2005-04-16 18:48
駄菓子さん て名前も今更ですが良いネーミングです事♪ 1年前、メルクル染井村の遺跡の担当してたんですよ~おっしゃるとおり 植木屋さんの多い町で遺物も何でこんなにって言うくらい植木鉢が大量に・・^^
住民も楽しんでいたんでしょうね~?長屋の花見じゃありませんが 桜は愛でるもので家ではツツジなどを育ててたんでしょうね☆
思わぬとこで仕事を思い出してしまいました^^今は地下鉄やJRの駅にエレベーター工事が多くなったでしょう? あの工事現場がまさに遺跡発掘をしてるんですよ^^江戸の考古学は身近にあるんです(^-^)
投稿: メルクル | 2005-04-16 14:51
木の実さん、豊島区の郷土資料館があるんですか。
染井の名前が残っているのは、いまや染井霊園と染井銀座商店街くらいかな。
豊島区駒込なんかにしないで、豊島区染井にすればよかったのになあ。
駒込という地名は、もともと文京区(本郷区)の本郷あたりから、現在の千駄木、本駒込あたりをカバーしていたんですが、駅があんなところにできたもんで、名前を豊島区にとられてしまいました (^^;;
投稿: 駄菓子 | 2005-04-12 14:38
つばめ92号さん、こんにちは
いやいや、焚きつけられたり、せっぱつまったりしないとやらない性格なので、感謝しています (^^;;
とうとう今年は、花粉がひどくて駒込以外の桜は見ずに終わってしまいました。
投稿: 駄菓子 | 2005-04-12 14:35
去年、豊島区の郷土資料館みたいなので、豊島の歴史みたいなのを見ましたが、確かに染井あたりは植木屋がいっぱいいて、ソメイヨシノは染井で品種改良されてできたそうです。電車の敷設の歴史なんかも展示されてて、石神井あたりはそのころから観光地として路線案内に載ってました。桜は今年はあっけなかったですね。見ごろは昨日まででしたね。
投稿: 木の実 | 2005-04-11 23:31
焚きつけてしまいまして恐縮です。でも桜はいいものです。この時期に外出すれば、車窓に見える桜の木がこれだけあるのだなとわかります。
投稿: つばめ92号 | 2005-04-11 00:48