沖縄本島・北東部を路線バスでゆく
名護には2泊するので、丸1日を有効に使って、簡単には行けない場所を巡ろうと決めた。
金さえ出せばタクシーでどこにでも行けるが、それでは味気ない。
やはり、路線バスの旅である。地元の雰囲気に触れられるのはもちろん、一般車より視点が高いので町並みや景色をよく見ることができる。
だが、西海岸はそれなりに本数が出ているが、東海岸となると激減してしまう。
それでも、この機会を逃すといつまた来られるかわからないので、チャレンジしてみることにした。
午前中に向かったのは、いまでは全国区の地名となってしまった辺野古(へのこ)である。
ここ数日の動きによれば、沖合の米軍基地建設の可能性はやや減ったようだ。
とはいえ、普天間飛行場の移転はまったなし。どうなることか。
さて、辺野古の集落はというと、コンクリート製の新しい家にまじって昔ながらの平屋の家が点在するという、沖縄本島の田舎としては、ごくごく平凡なところであった。
帰りのバスには時間があったので、豊原、久志と約3キロを散歩。
久志も静かな集落であるのだが、歴史を感じさせる遺跡や建物が並んでいた。
この道は、名護と那覇を結ぶバスの一部が経由するため、40~60分おきと、沿線の町の規模にしては、意外に頻繁に出ている。
午後は、1日3本しかない東村(ひがしそん)に通じる路線(川田線)にチャレンジ。
このバスは西海岸を塩屋まで北上し、そこから半島のくびれた部分を横切って、東海岸に向かう。
直通バスにはまだ間があったので、まずは西海岸の辺土名行きに乗って塩屋入口で下車。
ぶらぶらと塩屋を歩き回る。
ここは、湾がぐっと入り込んだところに位置する、実に趣の深い集落である。
さて、ここでバスに乗車したのが午後2時半ごろ。1本目のバスが朝6時台で、最終バスは夕方5時台なのである。
休日ということもあり、予想通り乗客は私一人であった。
つい最近まで、終点は魚泊だったが、いまでは高江というところまで延長されているとのこと。
結局、終点まで乗って折り返すことにした。
「平日はねえ、定期客は2人。あとは、たまにおじいとおばあが乗るだけ」
梅宮達夫を悪役にしたような運転手さんは、こう言って笑った。
この数時間後、彼と私は、夜の名護に繰り出し、スナックでカラオケの沖縄民謡を歌うことになる。
名護にそのまま戻るのも芸がないので、帰りは東村の中心地である平良(たいら)で降りることにした。
ここで、これまた1日に3本しかこない別路線(名護東部線)に乗り換えて、東海岸沿いのルートで名護に帰ろうという算段であった。
待ち合わせは3時間。だが、喫茶店もなく、食堂もすべて休みだった。
しかも、最低気温が10度を下回るという何十年に1回という寒さ。そして強風。
とうとう我慢できなくなり、進行方向に向かって慶佐次(げさし)というところまで、約4キロを歩いてしまった私であった。
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