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2005-03-06

素顔の那覇

 那覇も何度目かの訪問となり、見どころは一通りまわっている。
 そこで、今回は一人で来たことでもあるし、ぶらぶらと町歩きをすることにした。

 といっても、行き先は、町なかにもかかわらず、ガイドブックにもまず載っていない、ごくごく普通の住宅地。
 実は、前回と前々回に、バスやタクシーの車窓から目星をつけておいたのだ。
 いわゆる下町風の店が軒を連ねる大通りがあるかと思うと、脇道に入ると古い家がぎっしりと建ち並んでいる地区。それは、那覇の南東部に位置する与儀から開南にかけての一帯である。

壺川の坂道

 さらに手元にある地図を参考にして、いかにも道が入り組んでいそうな壺川、楚辺あたりも加えることに決定。
 雨降りに強風だというのに、我ながらご苦労なことである。

 まずは、モノレールを壺川で降り、沖縄そばで腹ごしらえしてから、坂道をのぼる。
 とくに字壺川地区は古くからの区割りが残っているようで、意外なところに伸びる路地や、家々の間に突然姿を表す沖縄の大きな墓が印象的であった。

 楚辺、樋川から開南本通りにかけての様子は、昭和30年代の東京下町に生まれ育った私にとって、実に懐かしく感じられる風景である。
 さらに、きわめて怪しげな夜の町も現役で生き残っているようだった。

農連市場あたり

 開南交差点近くにある農連市場は、これまた見ものである。
 派手さや一般受けは牧志の公設市場に遠く及ばないが、たたずまいの素朴さとローカル度を考えると、少なくとも散歩の対象としては私はこちらに一票を入れたい。
 まるで台湾の市場に迷い込んだかと、頭が一瞬くらくらとなったほどである。

 こうして、2時間近くかけて歩いてきたら、いつのまにか公設市場に続く商店街に出て、やっと観光客の姿をちらほらと見かけるようになった。
 国際通りではうっとうしく感じる観光客だが(もちろん、自分もその一人なのだが)、このときばかりはなぜかほっとした気持ちになったのは不思議である。
 疲れた体に、ゴーヤの生ジュースが染み渡った。
 

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  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
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