与勝半島で思う
短いながらも、どっぷり沖縄につかったこの旅行も、いよいよ最終日。
夜8時10分発の飛行機まで、精力的に動き回る……はずだった。
だが、未明までの酒がたたって、ひどい二日酔い。
11時のチェックアウトぎりぎりまで寝て、バスで与勝半島(与那城町、勝連町)に出かけることにした。
それにしても、前日朝までは何十年に一度という寒さだったというのに、この暑さはなんだ。
晴れたとたんに気温が上がってきた。乗ったバスにエアコン(もちろん冷房)が入っていたのには驚いた。
那覇からコザを通って与那城町の屋慶名(やげな)バスターミナルに達するバスは、経由地は何種類かあるものの、すべて合わせると5~10分おきに出ている。
もっとも、日中のバスにはせいぜい数人しか乗っておらず、今回も最後の20分ほどは私が唯一の乗客であった。
会社の経営状態がちょっと心配である。
さて、与勝半島の北側にあたる与那城(よなしろ)町の中心部では、この写真のような狭い道を大型バスがすれ違っていく。
古い家も道沿いに少し残っており、なかなかいい雰囲気だ。
とはいえ、ここでも開いている店はなく、ひっそりとしているのが寂しい。
営業しているのは、郵便局と銀行くらいだった。
また、この町の北側には、珊瑚礁の上に“海中道路”と呼ばれる橋がかかり、平安座(へんざ)島、宮城島、伊計(いけ)島、浜比嘉島に通じている。
橋のたもとまで出かけてみると、なかなか豪快な眺めである。
全部の島を渡ってみたいが、車で行ってもかなりの距離になる。
まあ、それでもミニバスが日に数本走っているというので、今度来たときに乗ってみよう。前日の夜は深酒をしないようにして……。
与勝半島の南側は勝連(かつれん)町。
ここにある勝連城跡は、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として、首里城(石垣)や中城城、座喜味城などとともに世界遺産に登録されている。
バス停の西原から徒歩5分。入場料は無料。
高台に築かれた石垣を、下の道から見上げると、まるでスペインかフランスの城砦のようであった。
ここまで来る観光客は少ないが、晴れていれば眺めは最高。
北は遠くやんばるの山から、海中道路の先に並ぶ島々、南は泡瀬干潟、遠く中城城まで一望できる。
一人で来てよし、二人で来てもまたよしの、お勧めスポットだ。
ところで、一人満足感にひたりつつ町中に下りてきた私の目に、「勝連町役場閉庁式典」という文字が飛び込んできた。
そう、具志川市、石川市、勝連町、与那城町は4月1日に合併。「うるま市」となるのである。
それにしても、この市名は……。
「うるま」とは、沖縄言葉で「珊瑚の島」といった意味ではないか。沖縄全体の雅名といってもいいだろう。
それを使ってしまうとは、なんと大胆な。もっと、地域に密着した名前にしてほしかったなあ。
それに、「うるま」を独占してしまったら、ほかの市や町の立場はどうなるんだろう。八重山諸島や宮古島の立場もね。
と、そんなことを考えつつ、コザに戻るバスに乗り込んだ私である。
そして、座席に座ったとたん、4日間のハードスケジュールの疲れがいっぺんに襲ってきた。
エアコンが入っていない暖かい車内で、あっというまに居眠りをはじめてしまったらしい。
【2005年3月 沖縄本島路線バスと民謡酒場の旅・完】
最近のコメント