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2005-02-26

白河の町

 仕事先でタクシーを呼んでもらい、「白河の駅まで」といったら、運転手は当然、新幹線の新白河まで行くものだと思っていたらしい。
 よそから来て、在来線の白河駅まで行く人などいないのだろう。

白河市内

 私は、仕事先で「白河に来たら、ぜひ麺を食べていってください」と言われ、「麺マップ」なるものまでもらっていた。
 昼にそばを食べたので、それならと、おやつ代わりにラーメンでも食べようと思い立ったのである。

 白河は麺で町起こしをしているようだが、いかんせん列車は1時間に1本だし、クルマで来る人が多いようにも思えない。
 たまに来るのは、私のような酔狂な人間だけなのだろう。

 城下町だった市街地には、新しい家が建ち並んでいるが、それでも中心地には昔の栄華を偲ばせる建物が数軒ほど残り、食後の散歩を楽しむことができた。
 連子格子の美しい木造の町屋、伊豆あたりでよく見かけるようなナマコ壁の土蔵のほか、ちょっとモダンな建物も見かけた。

 いかにも静かで寂しげな町であるが、ちょうど小学生や中学生が下校する時刻になったらしく、子どもたちの歓声で町がちょっぴり賑わったのは救いである。

酒屋

「町の南側にJR東日本の研修施設ができてね、中には本物の電車まで走っているそうですよ」とは、タクシーの運転手の話。
「東京からも青森からも、研修の人たちが大勢集まって、夕方の新白河駅はピッカピカの新人さんたちで大賑わいですよ」
「へえ、さぞかし町もうるおっているんでしょうね」
「いやいや、食事も施設の中にあるし、研修が終わるとJRのバスでまっすぐ駅に横付けするからね。まあ、たまに長期研修のベテランが金曜日の夜に飲みに出るくらいかな」
「ふうん」

 数十分の散歩を終え、私は在来線で新白河駅に向かった。新幹線との待ち合わせの時間を利用して駅前に出たのだが、寒さとあまりの殺風景さに、散歩しようという気は起きなかった。

 そして、たしかにJRのバスが次々にやってきた。ちょっと見ただけでも何百人もいただろうか。真っ黒なスーツの上に真っ黒なコートを着込んだ研修中の若者たちは、そのまま駅に吸い込まれていくのであった。

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著書

  • 辞書には載っていない⁉ 日本語[ペンネーム](青春出版社)
  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
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