これも公共交通機関?
イタリアの小さな田舎町をぶらぶらしていると、「こんなところに何しに来たんだい」とよく聞かれる。
そんなとき、「イタリアの丘上都市が好きなんですよ」と答えると、不思議と大半のイタリア人が納得してくれる。
1980年後半あたりから、イタリアでも「小さな町ブーム」といったものがあり、山の中の村や町を巡る旅が、一般的に認知されるようになったらしい。
ディスカバー・ジャパン(古い!)のイタリア版といったところだろうか。
さて、遠目には素晴らしい丘上都市(山岳都市)なのだが、そこで暮らすとなると大変である。なにしろ、丘や山を登ったり下りたりしているのだから、年寄りは杖をつきながら、息を切らせて歩いていく。
そこで、いろいろな公共交通機関が登場するわけだ。代表的なのはケーブルカーだろう。これまでにも、ベルガモ、オルヴィエート、ナポリで見た。
でも、何より興味深いのはエスカレーターとエレベーターの使い方である。どちらも、日本ではデパートや駅の上下移動くらいしか思い当たらないが、イタリアではこれが立派な公共交通機関となっている町がある。
そして、その2つが揃っているのが、イタリア中部、ウンブリア州の州都ペルージャである。もちろん、両方とも無料。
エレベーター乗り場は、町の頂上にあたる広場の東側にある。なんともうらぶれていて、物好きな旅人の好奇心を誘う。 エレベーター自体は何の変哲もないのだが、そこから降りると暗い道が長々とつづき、いきなり広い道の前に出る。そこにはバス停があった。
振り返ってみると、ごく普通の建物の入口にしか見えないところが、またまた心ときめくのであった。
一方、エスカレーターは、広場の西側、バスの終点そばにある。一見、地下鉄の乗り場のようだが、そこから延々と何台かのエスカレーターを乗り継いで、長距離バスの発着するバスターミナル前に向かう。
このエスカレーターの魅力は、冒険心をくすぐる舞台背景である。映画「インディージョーンズ」に出てきそう洞穴を、エスカレーターはくぐっていく。
おそらく、穴を掘っているうちに見つかったのだろう、エトルリア人の生活の遺物らしきものがあちこちに置かれている。
このエスカレーターには、8年前にも乗ったことがあるのだが、今回の旅行では、洞穴の中に店ができていたのに驚いた。そのうちに地下商店街になったりして。
写真を撮るには、ちょっと暗かった。そこで、ストロボ一発たいて撮ったのが下の写真。すぐ後ろにいたご婦人には申し訳ないことをした。何か言われぬうちに謝っておいたのだが、たぶんこのあと1時間近くは、視野の一部が光っていたに違いない。
日本では、エスカレーターが公共交通機関化しているところというと、長崎市内と、あとは山を削ってできた各地の新興住宅地くらいだろうか。
でも、高齢化がさらに進んでいくと、もっとあちこちで目にすることができるかもしれない。少なくとも、新交通システムなんかをつくるよりも安上がりだしね。
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乗っていると、ちょっと不思議な感じがしましたよ。
エスカレーターは、バジリカータ州の州都ポテンツァでも乗りましたが、ペルージャのほうが情緒があります。
ポテンツァのほうが長いですけどね。
投稿: 駄菓子 | 2004-11-26 06:01
これはまだイタリアでは未体験です。
古い歴史の町なかに、エスカレーターですか。
古代人が知ったら、さぞ驚くでしょうね。
投稿: leo | 2004-11-25 06:16