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2004-10-11

ダイヤモンドという名の町

 ディアマンテ(Diamante)とは、イタリア語でダイヤモンドのことである。なぜそんな名前なんだろうと思ったが、マルケ州生まれというホテルの奥さんは「知らない」という。
「でも、ここはいいところよ。夏の海水浴シーズン以外はのんびりしていて」と、いかにも聡明そうな彼女は、たばこをくゆらせながら語った。
 8日は金曜日ということもあって、夜が更けるにしたがって散歩をする人が増えてくる。海岸に面した道は格好の散歩道である。
 魚屋の店先では、カジキの頭が立てかけてあり、その場で身の切り売りをしていた。
「おお日本人か。写真? もちろんOKだよ」と、お客さんのおじさんといっしょにポーズをとってくれた。「テレビのロケみたいだな」と笑っている。
唐辛子を干す家


 晩飯の場所はその店主に尋ねることにした。
「値段が高くなくて、魚がウマくて、カラーブリアの辛い料理が食える店? そりゃあ、すぐそこのピッツェリーアだな。もちろん、パスタも前菜もとれるよ」

 食事前に、土産物屋で唐辛子のオイルやら頼まれもののベルガモットのマーマレードを購入。辛い料理で知られるカラーブリア州のなかでも、ディアマンテは唐辛子で“町おこし”をしているようで、陶製の唐辛子の土産物から、唐辛子入りのグラッパまで売っているのには驚く。激辛唐辛子のスパイスに「カラーブリア・バイアグラ」という愛称がついていたのは大笑いであった。

 それにしても、10月というのに海水浴客がいたのは驚きである。
「ノルディックやドイツ人は泳ぐのよね。暖かいらしくて。7月と8月のハイシーズンに来るのはイタリア人ばかりだけど」とホテルの奥さん。
壁画のあるアパート


 そういわれてみると、ちょっぴり垢抜けない町の雰囲気は、いかにも国内客向けの観光地らしかった。しかし、ちょっとガイドブックにでも載れば日本人もやってくるに違いない。シーズンを外せば、のんびりできること請け合いである
 そうそう。唐辛子と並んで、この町のもう一つの“町おこし”のネタは旧市街の家の壁に描かれた数々の壁画である。
 まあ、落書きと変わらないじゃないかという意見もありそうだが、せっかくなのでいろいろと眺めてみた。

・きょうのひと言
「アメリカは1回行ったことがあるわ。でも、アメリカはもうたくさん!」
 ホテルの奥さんと娘さんをまじえて、コーヒーをごちそうになりながら、午後の世間話をした。ミラノから東京まで12時間と聞いて彼女は驚き、「アメリカなら6時間で行けるんだけどねえ」といったあとに続けたことば。

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  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
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  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
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