憧れのモラーノ・カラブロ
10月6日の朝5時。まだ暗いなか、夜行バスはカラーブリア州のカストロヴィッラリ(Castrovillari)に到着した。山に囲まれたこの都市を拠点にして、周辺の町を巡ろうという算段である。
宿泊予定のホテルは、市内にありながら庭を広くとってコテージ風にした斬新な設計。しかも、料理はカラーブリアで唯一ミシュランの星つきという「鄙には稀な」ホテルなのである。だが、そこにたどりつくまでが大変であった。
まずは、荷物をホテルに預けて町めぐりをしようと思ったが、タクシーもなくバスの待合室も閉まっている。バスを降りた客は、ほとんどが別の便に乗り換えて、一人も残っていない。さらに、バスの冷房で本格的な風邪引きの予感はするし、同じく風邪気味で疲労気味の妻の機嫌が悪いという最悪の状態を迎えてしまった。
それでも、ホテルに電話をしたり、ぼつぼつ開きだしたバールのにいちゃんの助けを借りたりして、ホテルから迎えにきてもらえた。幸いにも部屋が使えるというので、すぐさま仮眠に入り、昼ごろまで寝ていたのであった。
さて、前置きが長くなったが、昼過ぎにやってきたのが20年越しの望みであったモラーノ・カラブロ(Morano Calabro)という町。写真でもわかるように、1つの山にべったりと家が張りついて旧市街を形作っている。約20年前にイタリアの観光雑誌「Bell'Italia」で見て以来、憧れだった町である。
宿泊地のカストロヴィッラリから約8キロ。行きはタクシーで、頂上にある「ノルマンの城砦」に運んでもらい、そこから"下界"まで歩いて降りていくことにした。
それにしても、ここは丘上都市好きの人間にとってこたえられない町である。バイクや車が通れるのは、ごく限られた道だけ。入り組んだ細い路地には、30年ほど前までロバが活躍していたという。
まあ、この町も、近々ホームページの「イタリア町めぐり」で紹介することになるだろう。
この日も、またもや昼飯難民になってしまったが、なんとか3時から開くバールで白ワインとパニーノを取り、5時発のバスで帰ってきた。
「カラーブリアは観光客向けのサービスが悪いでしょう。看板はイタリア語ばかりだし、バス停には時刻表もないし……」
バールの若くて美しい女性はそう言った。確かにそうである。バスに乗るには、まず切符の販売所と時刻を、近くのイタリア人に尋ねなくてはならない。もっとも、老若男女、町の誰もがバスの発車時刻を知っているのは驚きであった。
タクシーだって、電話で呼び出さなくてはならないから大変である。英語ができる人はほとんどいないので、イタリア語ができなくてはどうにもならない土地なのだ。
もっとも、イタリア人と会話をしなければならない状況に追い込まれるために、イタリア語学習者にとってはいい環境かもしれない。
すでに、バスターミナルのバールのにいちゃん(これがまたハンサム)とも仲良くなった。1週間も滞在すれば、町じゅうに知人ができてしまうことだろう。
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Shanryさん、こんばんは
きょうは、Altomonteというところまで行ってきました。
日本語にすれば「高山」!
この丘上都市の頂上にも、ノルマンの城砦なるものがありました。
宿泊地のカストロヴィッラリで薬を探していたら、なんと漢方薬を売っている店がありました。
おかげで、効き目はゆるやかですが、なんとか快方に向かっています。
投稿: 駄菓子 | 2004-10-08 02:36
駄菓子さん、どもども。お久しぶり。
現地レポートを楽しみに、ここんとこ会社から帰ってます。
しかし、いい町ですなぁ~ここ。早速調べてみました。
頂上のノルマン=ホーエンシュタウンフェン城は16世紀に
再建されたものだとか・・・道理で、私のフェデリコ城跡
巡りリストに未登録だった訳だぁ、と納得。
奥様ともども風邪気味とのコト。お気をつけください。
旅先での風邪ほどしんどいものはない!
続きを楽しみにしてますゼ!
投稿: Shanry | 2004-10-07 21:40