混沌としたローマ
特急エウロスター(Eurostar--英仏トンネルを通る列車とは同名の別列車)は、ローマ・テルミニ駅にほぼ定刻に到着。最近のイタリアの鉄道は、シチリア直通列車を除けばかなり正確である。
さて、飛行機まではまだ5時間ほどある。荷物を預けて、ローマ市内に買い物に出かけることにした。
買い物といってもCDと本である。行き先はコルソ通り。地下鉄B線に乗って、ポーポロ広場近くのフラミニオ(Flaminio)駅に向かう。
ポーポロ広場近くにはトラム(路面電車)の始発駅がある。時間があれば乗りたいのだが、今回は写真をとるだけで我慢。
それにしても、テルミニ駅前もフラミニオ駅も人でごったがえしていた。イタリア人はもちろん、アフリカ人、フィリピン人、中国人、ドイツ人、アメリカ人、アラブ人などなど。まさに混沌としたローマである。
昔は北東アジアの顔をした人間は日本人ばかりだったが、いまは中国人が圧倒的である。しかも中国人は、金持ちそうな旅行者もいれば、地元に居ついて道端でモノを売っている人までいる。
かと思えば、帰りの地下鉄では、戦争直後のイタリア映画に出てきそうな、昔ながらの純朴そうな顔をしたイタリアのおじさんも2、3人見かけた。南部出身の人なのかも。
さて、買ったCD。1枚目はサレルノで聴いて気に入っていたビアージョ・アントナッチの新盤(聴いたことのあるような歌が入っているし、10.9ユーロと値段が安いので完全な新譜ではないのかも)。
もう1枚はナポリの大御所ロベルト・ムーロロの『Napletana』。ナポリ民謡3セットの第3巻で、前回買い損なったものだ。前2巻はそれぞれ2枚組だったが、なんとこれは3枚組。38.5ユーロと予想外の出費となってしまった。でも、詳しい解説とともに、ナポリ弁の歌詞とイタリア標準語訳があるのでうれしい。
ナポリ民謡(民謡といわれていても比較的新しい歌も多いのだ)は、彼やセルジョ・ブルーニのような歌手が、正確なナポリ弁でしみじみと歌うのがいいと思っている。クラシックの歌手がベルカント唱法で声を張り上げて、しかも標準語ともナポリ弁ともつかないことばで歌うのは、正直いって違和感があるなあ。
本屋で入手したのは、イタリアポップス100選。ギターのコードとともに、歌詞がついている。それから、カラーブリアの地図。行ってきたところをこれで再確認するとともに、次回(もっとユーロが安くなってから)への計画づくりに活用する予定。
そして、もう1冊は、ASローマのサッカー選手フランチェスコ・トッティの笑い話。日本でも1巻目が翻訳されて発売されている。いってみれば、ガッツ石松の『最驚ガッツ伝説』のイタリア版というところか。いや、待てよ。あれは、トッティの本をヒントにしてつくったのかも……。
意味がわかるかどうか心配だったが、まあ半分くらいはわかった。思わず吹き出したものもあるし……。ローマ訛りをネタにしたものも多く、サッカーの話もある程度知らないとおもしろくないかも。これを日本語に翻訳したというのは、かなりの難儀だったに違いない。
それにしても、ローマ弁では定冠詞が「il」ではなくて「er」と発音するらしい。「L」と「R」の区別がネタになっているものもあって、「なんだ、イタリア人だってLとRを混同するんじゃないか」と思ったしだいである(サルデーニャ方言でも、標準語とは「L」と「R」が入れ替わる場合があるそうだし)。
帰りの飛行機はJALとの共同運行便。頭上の天気はまずまずなのだが、近くで稲妻がピカピカ光っているのを見ながらの離陸はちょっぴり不安であった。
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