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2004-10-12

シッラの海岸を散歩する

 レッジョの町は、どことなくナポリやパレルモを思わせる。もちろんナポリほど混沌とはしていないが、雑然としてとりとめのないところが似ているのだ。
 どこかの本で、ナポリの猥雑で楽天的な気質は、町を開いたギリシャ人の気質を受け継いでいるのだという記述を読んだことがある。となると、やはりギリシャ人が開いたパレルモやレッジョも、それに似ていても不思議ではない。
シッラの海岸に建ち並ぶ家々


 と、能書きはともかくとして、レッジョのホテルに着いて、まず驚いたのは水。なにしろ、口に含むとしょっぱいのだ。ホテルが気を利かせて塩味を付けているのではないとしたら、これはかなり水が悪い。町のどこでも清冽な水が飲めた先週の旅がなつかしい。
 ちなみに、このホテルは駅から徒歩15分ほど。駅に着いたのが夜遅かったので、イタリアのガイドブックで3つ星であるのを確認して、公衆電話から予約しておいた。
 ところがである。現物を見てビックリ。なんとゴージャスなホテルなことか。星も4つである。かといって、いまさらやめるともいえず、身分不相応なホテルに2泊もすることになった。
 やはり4年前のガイドブックでは限界があったか。改装によって、ホテルの星の数が変わるのは以前にも経験したことがある。立派な客室に入ってまずやったことが洗濯というのが情けない。

 さて、そんな大都市レッジョから、北方向に列車で約30分乗ると、海に面したシッラ(Scilla)の町がある。ペンテダッティロからの帰路は、奇跡的にバスと列車にすぐ乗れたので、まだ日が高いうちにシッラに着くことができた。

 駅は山と海にはさまれたわずかな隙間にあり、少し歩くとすぐに砂浜に出る。海水浴客も多く、のんびりした光景だなあと思ってジェラートでも食べて帰ると、それはシッラの一面しか見ないことになる……と偉そうにいっているが、私も危うくそれで終わりそうになった。
 砂浜の北側の岬を回り込むと、風景は一変。写真のように、山から家々がこぼれ落ちるかのように建ち並んでいるのが見えるのだ。海岸あたりの家は、家から船で直接海で出られるようになっており、福井県の若狭湾あたりの漁村を思わせる。
展望台に集うおじさんたち


 散歩するには海に近いほうの町並みがいい。狭い路地や階段が連なっており、たまにウマそうなレストランが目に入る。

 もちろん、展望を求めるならば階段を使って上の町に行かなくてはならない。空気が澄んでいれば、リーパリやストロンボリなどのエオリア諸島が見えるそうだ。
 広い展望台にはベンチが多数用意されており、日暮れどきになると、例によって近所のおじさん、おばさんたちがどこからら集まってきて、おしゃべりをしたり海を見たりしていた。
 また、ここはカジキマグロ漁の基地だったらしく、展望台の中央には、デカいカジキマグロを抱え込んでいる漁師の銅像が建っていた。

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著書

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  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
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